生き返った!そして氷龍の加護を得る

たかみつ

第1話 村人 

<ゴロゴロ・・・バリバリ・・・ドゴォ~ン!・・・>


ヤダァ!~ いけない・・・雷かぁ~、近くに隠れるところは無いよ~

とにかく寝転がったほうが良いのかな? どうしたら良いんだろう?


あれ? 霧? でもやけに冷たい霧、周りも見えなくなってきたし・・・

どんどん冷えてきた、寒い!~ ふと空を見上げれば、こんな時期に雪?いや違う、氷の粒っぽいのが降ってきた。だんだん粒が大きくなってきてる。頭だけでも覆っておこう・・・

と、空を見上げれば、そんな!~ 光が降って来てる、真上あたりから雷が落ちてくる。

突然、私の目の前が真っ白な世界になった・・・ううう~



そろそろ、村の食料も少なくなってきてるし・・・出かけなければ・・・


ここは、辺境の小さな村、以前は働き盛りの男たちも半数ほどはいたんだけど、多くの魔物肉を求めて狩りに出かけるたびに、数を減らしてしまって、今では年寄しか残っていない。

そんな村で、私は数少ない狩りをすることを期待される若者なの。女だけどね。


身寄りの無い私を引き取ってくれた村長のじい様は、私を女の子としてではなく・・・育ててくれたので、狩の手伝い、薪集め、掃除、などなどまでやらしてくれた。まあ、やらされたんだけどね・・・・

だから、今では私ぐらいしか・・・動けないんだよ、この村では。


といっても、まだ17歳の女子なんだよ・・・狩りの経験もそんなに無いし、剣だってまともに扱えない。

そんな私は、森の中に仕掛けた罠で小動物などを取ってくるのが精一杯。

だけど、その程度でも、なんか私が肉を取ってこないと、・・・この村、終わってしまうようで・・・


「ヨシノ~、いつもすまんの? 獲物は少なくても我慢するが、お前さんも自分の身体には気をつけるんじゃ! いいか、無理せんでもええからな!」

「ええ、気をつけますよ、私もまだ死にたくはありませんから・・」


何が、無理せんんでもええ、ですか! 「無理してでも獲物を持ち帰れ」の間違いでしょ? まあ良い、わかってるし。

両親を亡くした私を引き取って育ててくれた村長のじい様には逆らえない・・・

*ヨシノ 村人 17歳 女 


村から東へ1時間くらい歩いて森にたどり着いた。

いつもの小川の水場のところに行く。先客がいる。ゴブリンたちが水を飲みにきてる。

まあ、静かにして少し待とう! 争いになれば・・・きっと負けて終わり。


今日は、ゴブリンのあとは続かなかったようだ。酷い時なんて、ゴブリン、魔狼、さらにオークなんて奴らが続けて水を飲みにくるから、2,3時間じっとしていることもある。

まあ、水は流れているから、たとえ、魔物たちが飲んだあとでも気にしない。

ちょうど、この場所が、飲みやすいような地形になっているから、みんなここに集まるだけなんだ。


水を飲んで、持ってきた竹筒に水を一杯にして、水漏れはするけど蓋をはめる。いつものことだ。


それからは、仕掛けた罠を見て回る。

いつも、10箇所仕掛けておくが、普通は4個に獲物がかかっているかどうか?ってくらいだ。

今日は、8箇所の罠に獲物の動物がかかっていた。

野鼠、野兎、それに山鳥ってところ。野兎と山鳥は特に喜ばれる・・・

罠から外して、まだ息のある獲物には、ごめんね!って声をかけてから小さなナイフでとどめを刺して持ってきている布袋に詰めていく。今日は結構、大猟だよ。


ちょっと疲れたので、竹筒の水で喉を潤す。がぶがぶ飲むほど入っていないから大事に飲まないと・・・あとは、帰りがけに魔物と遭遇しなければまたあの小川で飲めるし。


ふと、村の方角の空に目をやると、白い煙が上がっている。あれ? 今日は煙が良く見える・・みんな一斉に朝の炊き出しでも始めたんだろうか・・・

肉はたくさんは無いけど、野菜や芋などは自前で少しは育てているから。それらを鍋で煮込んで、そこに捌いて干しておいた肉を入れて食べるのが、あの村の食事だ。

さて、早く戻って、捌いて干し肉を作っておかねば・・・・


ふと、立ち上がろうとしたら、地面が揺れた・・・いや、私が揺れてる? こけた。

なに!? いままでこんなの無かった、初めてだよ!

そしたら、いつの間にか私の周りに白い霧?がモヤモヤしてきた。いや~・・・寒い! これは冷たい霧、氷の粒みたいなもの・・・あっ、眩しい! 頭の中がピリピリしてる・・・雷が続けざまに落ちてるよ・・・うっ!あぁぁ~~ 意識が・・・



「ねぇ・・・お嬢ちゃん? ・・・・」

うん? 誰かの声が聞こえる・・・

あれ? ここはどこ? 森の中じゃぁ無いの? いや森の中だよ、でも霧が深い。私は?どこにいるんだろう?

そうだ! 獲物の袋も無い、どこ? あれは大切なみんなの食料なのに~・・・


「お嬢ちゃん? 気がついたかしら?」

うん? 誰? 女の人っぽい・・・

「ごめんね・・・」


なんで? 謝ってるのかな? 


私の顔を覗き込むようにして、綺麗なおばさんがそばにいる。

「お嬢ちゃん、ごめんね・・・」


「あの~? 何を謝っているんですか? 私なら大丈夫ですよ」

「そう? 具合は悪くはないかしら?」

「ええ、普通です」


なんか、会話がちぐはぐみたいだったけど、その人がちゃんと話してくれた。


その人は、古龍の氷龍さんで、今は<人化>した姿で私のそばにいる。

このあたりで、黒竜の若いのが暴れていたから少しお仕置きをしていたらしい。

まあ、この世界には、竜や魔物は普通にいるし・・・

ちょっと加減を間違えて、強力なブレス、氷龍ブレスを吐き出してしまった。

そのブレスの周辺部、ぎりぎり届くあたりで違和感を感じて、黒竜を追い返してから、その場所を見てみたら、私がボロボロになって凍り付いて転がっていたらしい。


しまった! と思って、再生しようとしたらしいけど、私の身体は、ボロボロ過ぎて使い物にならない状態になっていた。

なんとか、それに似せて新しく身体を作って、そこに、近くにまだ留まっていた私の魂を押し込んだ・・・ということらしい。



ふ~ん、私は氷龍さんのブレスに巻き込まれて、ということですか・・・


あまり・・・特に・・・悲しいとか怒りとか、無念とか・・・感じない。

まあ、あの村でいつものようにやっていても、それほど長くは生きられないだろうな・・・くらいはいつも分かっていたことだし・・・


「それで、氷龍様は、私の身体を新しく作って、魂を入れて、・・・くれた、ということで・・・合ってます?」

「そうね、ごめんね、勝手なことをして・・・」

「いえ、ありがとうございます。きっと、この新しい身体って? 凄いんですか?」

「まあ、それほどでもないけど、今までの身体よりは丈夫なはずよ」

「そうですか・・・・ありがとうございます。・・・では、もう行っても良いでしょうか? 私は村へ帰ります」




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