第6話春だからね

「はぁ、疲れた」


「頭腫れてます?」


彩菜は自分の頭を触っている


「・・・小僧、目どうした?」


「あえ?」


突如、呼吸がしにくくなる。心臓の鼓動が早くなる。耳鳴りが始まる


「小僧!?」


(スタミナ不足?酸欠?突如!?)


視界が歪み、意識が消えていく


(死)


意識が完全に消え去る






(夢を見ている時の感覚だ)


声が聞こえる。一切何を喋っているのか分からないが


(何言ってるんだ?)


オーガの声が聞こえる。体が寒くなり、得体の知れない恐怖に包まれる


(・・・)


考えることが出来ないほど、恐怖を感じる


(・・・恐怖に慣れてきた)


体に浮遊感が与えられる


(目が覚める感覚だ。他の人も感じるんだろうか?)


光が目に入る


「お、起きたか」


「神様?」


体が熱い


「熱が出てるから、大人しく寝ておけ」


「悪夢?を見ました」


「スキルのデメリットだと思うぞ」


「そうなんですか?」


フワフワと飛びながら、水の入ったコップを持ってくる神様


「スーパーダッシュのデメリットだと思うんだが」


「スタミナ制限を解除する奴ですよね」


「思ったのよ。疲労とかは普通に蓄積されてそうだなって」


「一時的に疲労を、感じなくなるってことですか?」


神様から水を受け取り、ごくごくと飲み干す


「そうだな。それと悪夢を見た理由だが、鋼の意思ってスキルが合っただろう」


「はい」


「あれゲート内だけだから、恐怖が再燃したっと言うか」


「理解出来ますよ」


「まあとりあえず寝ろ。明日は忙しくなるぞ」


「はい」


意識を落とし、ゆっくりと睡眠を取る






「ここですかね?」


「地図を見ろ」


携帯を取り出し、地図アプリを開く


「ここで合ってますね。覚醒者試験」


「まさか小僧の国だとゲートに入るのに資格がいるとは」


「危ないですからね」


覚醒者試験、覚醒者になった場合に行かないといけない場所


行かなかった場合、脱税した時並の罰則金を払わないといけない


「こんにちは!」


突如後ろから声が聞こえる


「・・・こんにちは」


(僕に言ってるのか?)


「試験を受けに来たのかい?」


「はい」


「私の名は紹介担当さん!色々紹介してるよ!」


「はぁ」


「おっと!追手が来たようだ!サラバ!」


変な人の姿形が消え去る


「・・・・なんだったんだ?」


「春だからな」


疑問に思いながらも、試験会場へと入る


試験会場に入り、受付に案内され、水晶玉?を触った後、いきなり実践が始まった


「試験を始める!準備はいいか?」


「はい」


「では開始する!標的は疑似ゴブリンだ」


(武器は持ちやすい長剣、防具は無し。敵はゴブリン)


「クギャ」


「先手必勝」


急いで走り、ゴブリンを蹴り上げる


「グギャ!」


「・・・」


ザン!いい音が鳴り、ゴブリンが真っ二つになる


「試験終了!結果を発表する為、次の扉を開いてくれ」


「はい」


「余裕だったな」


神様の声が聞こえる。姿は見えない


「やあ!また会ったね!」


扉を開けるとそこには入り口で出会った不審者がいた


「君、面白い加護を持っているね!調べてもいいかい?」


「!!」


不審者と目が合う


「驚いたかい!この目を見て!」


異形の目、その言葉がしっくり来る不思議な瞳だった


「この目はね!魔物から奪ったんだ!死体から奪ったから、こんなに変な」


「いたぞ!」


「追手だ!じゃあね!」


またも不審者の姿形が消える


「君!大丈夫かい!?」


不審者を追っていた覚醒者らしき人物に、体をペタペタ触られる


「大丈夫そうだな。初試験かい?」


「は、はい」


「頑張ってくれ!」


そう言うと覚醒者らしき人物は、走り去って行った


「なんだったんだ?」


「さあ?」


「どうしました?」


試験官らしき人物が現れる


「初めての戦闘で気分が悪いのですか?」


「いえ、大丈夫です」


「こちらへ、資格をお渡します」


「はい」


試験官に案内される。春だから、不審者によく会う

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