【余談4】介護エプロン

 琉は当時こそ食べこぼしをしなかったが、失明から4年もたつ中で、日常ではやはりあったほうが良いと思われたので、介護エプロンをその後、いろいろ使ってみた。

 コロナ以前の外食知識で恐縮だが、フランス料理など外食をすれば、ナプキンがあるし、ステーキ専門店では紙のエプロンが出てくる。あれは理にかなっているのだ。


 形の主流としては赤ちゃんのスタイがエプロン型になって前に長い。普通のエプロンのように紐で腰の処を縛ったりしないようだ。首の後ろをマジックテープやスナップで止める。布地は撥水性を持たせているものが主である。

 長いエプロンは一番下の面が少し折り返されてポケットになっており、食べこぼしされたご飯のかけらを受けられるようになっているものがある。また、長いエプロン自体を首からかけて、ゆとりを持たせて、食卓の上にまで伸ばし、食事のトレーをその上から置いて使うようになっている。この場合は、ポケットはないが、ゆとりの部分がポケットの役割を果たすのである。


 デザインを重視する人の場合は、素材がスカーフ地(レーヨンやポリエステルに撥水加工)で、後ろに留めるところ(マジックテープ)の上に飾りボタンがついていて、前から見ると飾り襟がついており、ブラウスやワイシャツを着ているように見えるものがでている。ただし、このエプロン丈は腰あたりまでしかない。

 もう少し、自然に見せたい場合は、スカーフのようにみえるタイプが出ている。これは前側に面を見せて後ろでスカーフを縛った感じに模していたり、縦にスカーフを垂らした感じになっている。

 ちなみにこのデザイン重視系は価格は5000円から8000円台である。これは洋服を選ぶ意味合いで利用する軽度の食べこぼしの人向きである。余所行き用途に感じた。デザイン重視系エプロンはその美しさが重要なので、洋服並みに気を遣う。油染み、ケチャップのシミなどつけると取れず、結構ショックである。なお、エプロンとしてカバーできるのは局所的なので、使いどころも気を付けないと、洋服を食べこぼしから完全にはカバーできない場合がある。


 普段使いで個人的に優秀としたいのは、英国製のウェットスーツ素材のラージタイプだ。ラージだけは、腰のところにベルト通しがついていて、普通のエプロンのようにしようと思えばすることもできるのだ。ちなみに色は3色、濃紺、青、赤紫で全て無地である。価格は4000円台と高いが、丈夫で洗濯も気兼ねなく出来る。流石、英国、福祉先進国と思う反面、日本でどこか作ってくれないかなと期待している。ウェットスーツ素材でもっと多彩な色の商品が日本で出ているのだから、介護エプロンをバリエーションに加えたら、価格がもう少し低廉化して普及し、介護エプロンの標準に納まると思う。頑張れ、ニッポン。



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