【余談3】支払い

 本編の私は、自分のお金を当てにして、入院費を払おうとしているが、実はこれは悪手である。親が急病または急死であれば、やってしまいがちだが、そもそもはそうなる前に親の資産の情報の開示を求めておく方が良い。親の人生に起こることは親の金で何とかし、自分の人生に起こることは自分の金で何とかするのだ。それが、最終的には一番波風立たない方法である。


 自己犠牲。介護の世界において、それは全く美徳でも何でもない。それは自己満足の間違いだ。自己犠牲を払うということは、親の価値観以上の何かを自分がしようとしていることに他ならない。そして、それは、長期計画にはなり得ないからである。


 親の人生のイベントは親のお金で何とかすること。もし、亡くなるなどという事態になれば、相続問題が発生するのだ。そのとき、自分のお金を中途半端に利用していて、相続でさらに税金となると馬鹿らしいと思う。また、親が親のお金をすべて使いきっても親にはその権利があるのだ。すっきりするではないか。


 一番みっともないのは、親にいくらあるか知らないで、自分が自己犠牲を払っている気になって、親に自分の価値観を押し付けた、みみっちい生活を強いて、親の老化を速めてしまうことだと私は思う。そして、それが介護の主流だと思っている。それは介護の主流ではない。ただの無知だ。


 病院にお金がかかるか。介護にお金がかかるか。それは本当か?制度をよく確認したのだろうか?戻ってくる還付金や税金レベルまで。日本の福祉はそれぞれの保険料を払っていればかなり手厚いし、親世代が会社員や公務員であったなら年金は非課税であるだろう。介護にお金がかかるって、老人ホームに入れて、その住居代がかかるといっているのではないだろうか。その老人ホームの立地は何処か。介護直接の費用ではない処にかなりかかっているように見受けられる。人一人、別の処に住めばそりゃお金かかるわ。あと、本当にその人に合ったちゃんとした処なのか、だ。合ってなかったら「悪化」しかない。

 一番の問題は、自分の思い込みや、知らない分野(医療・介護)に対する「専門家(らしき人)」のいうことの鵜呑みだと私は思う。だから、単純に介護大変という輩の言うことを私は聞かない。自分で「悪化」させて「大変」という奴には「人一人の人生台無しにしやがって」とただ憎悪だけを感じる次第だ。


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