第二十三話 第894階層へと至る
「はっ!」
俺は神速で《
「はっ!」
そして、続けて距離を殺し、未来を斬り、残る魔物を殲滅する。
うん。やってみて思ったわ。
「これ、普通に強すぎる」
いや、分かってはいた。
あの《
これで弱い訳が無い。
大鎌という所が少しネックだったが、これは別にある程度慣れてくれば、そこまで問題にはならなくなると。
で、ある程度慣れてそこまで問題にはならなくなった結果が、今の圧倒的蹂躙……と。
「ただ、ここまで順調だと、逆に怖くなってくるな……」
基本的に、ダンジョンは本当に容赦ない。容赦なく、俺を殺しに来る。
今はアルフィアたちが居るお陰で、その頻度は相当減ったが……1人だった時は、本当にヤバかった。
故に、その時の経験から、最前線で蹂躙が出来てしまうのはあり得ない事だと無意識の内に思ってしまい、逆に安心できないのである。
「……む? ご主人様よ! ロボさんが探知で、下へと続く階段を発見したぞ!」
「お、ナイス!」
すると、遂にロボさんが下の階層――第894階層へと続く階段を発見してくれたのだ。
なら、後はいつものように最強の強化魔法――《
ここで、俺はある事を思う。
「《
知っての通り、《
そんな状態で、過去未来を斬る斬撃は魔力の関係で使わないとしても、距離を無視する斬撃は、使いたい時に使えるのだろうか。
「それに、多分
襲い掛かって来る魔物をアルフィアたちと共に殲滅しながら、俺は必死に考えを巡らせた。
そして、直ぐに結論を出す。
「よし、使うぞ。皆、いつも通りに頼む!」
「了解なのじゃ!」
「分かった~~~~!!!」
「リョウカイシマシタ。マスター」
俺の言葉に、全員が納得した事を確認した俺は――詠唱を始めた。
「【真なる殺戮の宴をここに。代償は理性。血と屍の
刹那、俺の脳内を埋め尽くす純然たる殺意。
結局これが、俺の始まり――
「はああああああ!!!!!!」
そして、俺は殺戮を始めた。
「「「「ガアアアアア!!!!!」」」」
向かってくる、数多の魔物。
それを、俺は殺意のみが込もった瞳で射抜くと、疾駆した。
「はあああああああああ!!!!!」
そして、《
「はああああああ!!!!」
振り終わりの後隙を狙われるが、その圧倒的な身体能力を用いて、強引に体勢を立て直し、斬り刻む。
「……待て。たしか……あああああああ!!!!」
ここで、俺の瞳に僅かながらも理性が戻った。だが、それでも拙い大鎌術で魔物を殺し続けることしか出来ない。
殺し、殺し、殺し、殺し――
気づけば、俺は既に第894階層に入っていた。
そう――
この時、俺は《
だが、依然として脳内を埋め尽くすのは殺意のみ。
魔法の解除は出来るが……《
「がああああああ!!!! 使うっ! があああああ!!!」
だが、俺は気合と根性で使ってみせた。
直後、後ろの方にいた魔物が、俺の斬撃によって死に絶える。
よし。この調子で何度か使い、無意識に使えるようにならないと。
詠唱が必要な魔法とは違い、こっちであれば無意識に使えるようにさえなれば、問題ないからな。
「があああああ!!!!!」
だが……やはり、殺戮衝動を抑えて意識的に攻撃するのは……辛いな。
反動で、より深く殺戮衝動に駆られるようになってしまった。
このまま続けてたら、精神的問題でまた自力で戻ることが出来なくなり、アルフィアに手伝って貰わなくてはいけなくなる。
2回連続は、流石に避けたいところだ。
姿を見ようものなら、無意識に襲い掛かろうとしてしまう関係で見る事は出来ないが……時間的に、そろそろ《
魔物の発生も一旦は落ち着き始めているし、ここらで解除するとしよう。
「があああああっ! 【解、除】!!!!」
直後、まるで一気に空気が抜けていく風船のように、殺戮衝動が消えてく。
ああ……戻って来た……か。
俺は正気に戻った事を実感すると、アルフィアたちの方に視線を向けた。
「おお! 今回は、戻ってこれたようじゃな、ご主人様よ。準備は丁度終わった所じじゃ。頼む」
「ああ、分かった」
そう言って元気よくこちらへ右手を振るアルフィアの言葉に、俺は微笑して頷くと、《
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