第二十二話 大鎌は慣れない
「……という感じだ」
その後、俺は《
当然この間魔物が幾度となく襲ってきたが、これはロボさんからバトンタッチした俺が、《
「ふーむ。なるほどのう。《
「だね」
アルフィアの言葉に、俺は短くそう言って頷いた。
確かに、代償があればその分強力なものになるから、次は代償のある《
いやでも、等級が上がるにつれて、代償も段々と重くなってくるからな……
長らく使っていた《
それより一段上の代償となると……うむ。少し怖いな。
魂とか平気で削られそう。
「強いの~? マスターが強くなるなら、ルルムさいこ~!」
一方、九分九里説明を理解できなかったであろうルルムは、数少ない……というか、恐らく唯一理解しているであろう”前よりも強い武器”である事に、そんな風に笑みを浮かべて言うのであった。
そして、流れるままに俺に抱き着く。
「リョウカイシマシタ」
そんな中、ロボさんはただ一言そう言うのであった。
その後、話にひと段落が付いた所で、俺たちはダンジョン探索を再開した。
先ほどまでは下への階層を探す事を最優先にしていたが――今は、俺の新たな得物、《
何せ、そもそも大鎌をまともに使う事自体が数十年ぶりだ。それに加え、距離を無視する斬撃や未来過去へ届く斬撃といった特殊なものも含まれており、それが難しさに拍車をかけている。
「はっ はっ はっ」
まず《
その後、そのまま流れるようにして距離を無視する斬撃を放ち、奥に居る魔物の首も切断した。
「ふぅ。タイミングが少し、難しいな」
さっきのように安全圏から使う分にはいいのだが、こうして戦闘中に使うと、慣れていない部分が結構目立つ。
ああ、やはり大鎌は扱いが難しい。
剣よりも広範囲を斬れるのは高評価なのだが、今まで両刃の剣を使っていた事もあってか、一度振った後に癖で刃の無い大鎌の上側部分で魔物の首を斬ろうとしてしまう。
当然それで斬れるわけも無く、魔物はただ後方へ吹っ飛ばされるだけで済んでしまった。
「地上に大鎌使いとか居ないかなぁ……。居たら、技術
剣はそれなりに極まっている為、使っても意味は全然無いのだが、大して極まっていない大鎌なら、普通に意味ありそうだ。
まあ、当然自分で積み重ねなければ最終的には意味ない為、結局の所それはただの指標となるだけに留まるだろうが……それでも、そうした方が手っ取り早く強くなれるのは確かだ。
「そうと決まれば、早速……とはならんな」
流石に今帰るのは早過ぎるし、大鎌の技量以外……《
「てことで次は――はああっ!」
俺は時間的に、そろそろ出て来るであろうと思ったダンジョンの壁横目掛けて、無数の斬撃を未来へと飛ばした。
「「「「「グルルルルルゥ!!!!」」」」」
すると、やがて壁から産みだされてくる無数の魔物ども。
奴らは俺を視界に収めると、一斉に襲い掛かろうと地を蹴った――が。
「「「「「ギャッ……」」」」」
刹那、無数の斬撃が次々と魔物どもを襲い、斬り刻み、絶命させる。
「中々いい……が、出来れば一度に無数の斬撃を出したかったな……」
ザザザザザンッ!って感じは無く、ザン!という音を出したかったなぁと思いながらも、俺は戦いを続けた。
こればかりは慣れだな。一応空間属性魔法は得意だから良かったけど、もし適性が無かったら……うん。多分相当に大変だっただろうな。
もしかしたら、使い方をミスって自分で自分を斬る……なんて真似も、俺だったらしてそうだ。
おっと、縁起の悪い事を考えちゃ駄目だ。現実になってしまう。
そうして、俺はその後も《
◇ ◇ ◇
地上にある、小さなカフェにて。
「……師匠。なんか、さっきからダンジョン関係の未来がコロコロ変わるんだけど。なんか、コロコロ変わりすぎて不気味なんだけど、何か知らない?」
「ぼんくら。お前さんで分からんのなら、私では分からんだろうに」
「えー……なんか、魔物の出る数がコロコロ変わるんだよねぇ……。大反乱の数も増えたり減ったり忙しいし……。”魔滅会”の創設者が何かしたのかな?」
「あのクソ爺は曲がりなりにも大反乱を止めようとしておるだけ。増やすなどあり得んし、そもそも私やお前さん、そして宏紀がダンジョンの直ぐ近くに居るこの状況で、事が起こるまでバレないのはおかしい。大方、ダンジョンに異常でも出たのだろう。あそこは300年経った今でも、未知の塊だという事を忘れたか」
「ですよねぇ……師匠」
そんな会話が、されたとかされなかったとか……
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