第四十三話 魔石を売って金にしよう
お好み焼きパーティーが、ようやく終わりを告げた頃……
「うーむ。満足じゃ満足じゃ。自分で作ると、また格別な感じがしたのぅ」
「むふふ~。ルルムは満足~~~」
「ハイ。オイシイトイウカンカクヲ、ジックリタイケンスルコトガ、デキマシタ」
全員、嬉しそうにそんな事を言った。
あの後、なんだかんだでアルフィアたちにも、キャベツ斬りや生地作りなんかをさせたんだよな。
ルルムがテーブルごとぶった斬ったり、ルルムが生地を混ぜすぎて中身ぶっ飛ばしたり(俺が魔法で即座に戻した)、ルルムがソースをぶっかけ過ぎたりしながらも……
あれ? 全部ルルムじゃね?
……まあ、いっか。
とまあ、そんな事がありつつも、なんだかんだで楽しめたからヨシッ!
「……ただ、このまま金を消費し続ける訳にもいかないし、ここらで一度金を手に入れておいた方がいいな」
美鈴を助けたお礼として、宏紀から250万円も貰っていたが……こんな調子で使ってたら、そう遠くない内にゼロになってしまうのは火を見るよりも明らかだ。
そこで、今回は地上にあるダンジョン総合案内所で魔石を売り、金を手に入れてこようって魂胆だ。後、美味い飯と魔導工学の参考書探し。
「ふむ。確かに金とやらが無くなって、美味い飯が食べられなくなるのは嫌じゃからの。では、早速ここら辺で適当に魔石を見繕うとするかぇ?」
「いや、人間のレベル的に、ここら辺の魔石じゃ、変に勘繰られて面倒な事になるのがオチだ。そこで、今回は第150階層辺りに行って、程よく魔石を集める事にしよう。幸いそこでも、それなりの値段で売れるみたいだからね」
あの階層の相場は……ものにもよるが、1個当たり平均1万円だった気がする。
取りあえず50個ぐらい集めておけば、一先ずは十分だろう。
「それじゃ、早速行くよ。ただ、その前に《
俺はともかく、アルフィアたちの説明は非常に面倒だ。
そんな事を思いながら、俺はそう言ってロボさんを呼ぶと、協力して《
そして、全員居る事を確認してから転移魔法を使うと、第150階層に飛んだ。
「よっと。周囲に人は……居ないね。それじゃ、早速始めるか」
「うむ。任せよ」
「は~~~い!」
「リョウカイシマシタ」
周囲に人が居ない事を確認した俺たちは、上へと向かいながら、そのついでに魔物を倒すって感じのやり方で、魔石を集め出した。
「や! ……あ、またやっちゃった……」
「うーむ。手加減が難しいのぅ」
ここらの魔物が脆過ぎて、アルフィアやルルムは魔石ごと破壊してしまうなんて事があったりしたが、それでも順調に集まって行った。
そして――
「よし。もうここからは面倒だし、一気に地上へ行くか」
第100階層辺りに来たところで、十分集まった事を確認した俺はそんな事を口にすると、転移魔法を使って一気に地上へと向かった。
そうして降り立ったのは、ダンジョンの玄関口でもある、ダンジョン総合案内所のロビー。受付に並ぶ人や、ロビーで語らう人間たちが多々見受けられる。
「それじゃ、売って来るから、皆はここら辺で自由に過ごしててくれ」
「うむ。分かったのじゃ……ルルムの制御も、任せよ」
流石アルフィア。しっかり自分の使命を分かっている。
俺は苦笑いをしつつも頷くと、《
「んーと。ここに置けばいいのかな?」
スーパーのセルフレジと似たような感じの機械の投入口に、俺は魔石を放り込んだ。
すると、放り込むたびに9000円、19000円、28000円……と、ディスプレイに表示されている値段がどんどん加算されていった。
「魔石に含まれる魔力を計算して、出しているって訳か。こりゃまた、随分と便利なものだなぁ」
魔導工学……なんか興味が湧いてきた。
そんな風に興味を示しつつ、俺はどんどん魔石を突っ込んでいく。
やがて全部入れ終わり、結果は――
「魔石150個で、161万2000円か」
予定していたよりも多くなったなぁと思いながら、俺は出てきた現金の束を手に取ると、即座に《
「この額を、直接現金で貰う奴っているのかな……?」
唐突にそんな疑問を抱きながらも、俺は自動魔石売却機から離れると、アルフィアたちの所へ戻ろうとした。
だが、ここで見慣れた気配を感じ、俺は思わずそっちに視線を向ける。
「……あ、美玲か」
そこには、どこかへ向かおうとする美玲の姿があった。
「ん?……あ、こんにちは」
すると、美玲も俺に気づいたようで、俺に近づくと、丁寧な挨拶をしてくれた。
ここで俺の名前を言わなかったのは、俺の思いを汲んでくれたからかな?
……いや、流石に考え過ぎか。
「ああ、こんにちは。今日は魔石を換金しに来たんだ。美玲は?」
「はい。私はつい先ほど、この前私が巻き込まれた転移トラップに関する調査が終わり、帰還した所です。それで、今は自由時間という事で、小休憩中って感じですね」
「ああ、あの件か……」
なるほど。やはりと言うべきか、調査には行って来たのか。
まあ、美玲の様子からして、特に何もなかったって感じかな……?
「はい。……あ、良ければ、あそこで飲み物を――」
美玲がそう言いかけた――次の瞬間。
ドオオオオオオオォォン――!
大きな爆発音が、建物の外から響いてきた。
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