第二十二話 過去編(ロボさんとの出会い)
俺が、第603階層を攻略してた頃――
「【水よ。大海となりて万物を閉ざせ――《
周囲を囲う、体長3メートル程のフルアーマーの騎士のような魔物――ナイトゴーレムの群れ。数は――30。レベルは700。
それらを全て水で包み、閉じ込めると、周囲の気温を一瞬でほぼ絶対零度にまで落とす事で凍らせた。
「ゴ……ガ……」
内部に侵食する水が凍った事と、極低温によるダメージも相まって、ゴーレムたちは一斉に崩れ落ちていく。
「ふぅ。こいつらは外装が頑丈過ぎるから、面倒なんだよなぁ……」
ゴーレムたちの残骸を前に、俺は頭を掻きながらそう呟いた。
こいつらは第601階層から出現するようになった魔物で、今までの魔物とは段違いの強さを持っている。
その外装は《
《
「さてと。今の内に魔石を取り込まんと」
そう言って、俺は砕けたナイトゴーレムから素早く魔石を回収すると、その中に含まれる魔力を取り込んでいく。
死んだ魔物の魔石であるが故に、このレベルでも上の方に居た魔物と同様、得られる魔力は少ないが、やらないよりはマシって感じだ。
そうしていると……
「ん? なんだこりゃ」
そう言って、俺は1体のナイトゴーレムの残骸から、見慣れない赤い球体を取り出す。
そして、何だろうかと思いながら、これを《
すると、驚きの結果が出てきた。
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
【名前】魔心核
【等級】
・ゴーレムが極稀に体内に保有している。
・核にすることで、ゴーレムを作成し、使役する事ができる。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
「マジかよ。すげぇな」
まず驚いたのは等級。《
そして、これまでの傾向からして恐らくこれは、《
次に驚いたのはやはり詳細――ゴーレムを作れるという事。
どの程度の強さのゴーレムが作れるかは未知数だが、《
「よし。早速帰って作ってみるか」
もう少し探索を進めるつもりだったが、先にこっちをやってみたい。
そう思った俺は《
「よし。じゃ、作ってみるか」
拠点に戻った俺は、魔心核を手に取ると、《
「ゴゴゴ……」
すると、魔心核を入れたナイトゴーレムの残骸が、ゆっくりと立ち上がった。そして、そのまま俺の前で微動だにせず佇む。
「えっと……それじゃ、あっちに向かって全力で走れ」
そう言って、俺は前方に広がる平原の、遥か遠くに見える地平線を指差した。
直後、こいつはクルリと俺から背を向けたかと思えば、ナイトゴーレムとほぼ同じ速度で走り出した。
「おお、ちゃんと命令を聞いたな。身体能力はこの感じからして、外装の質に依存するのかな?」
走り去っていくゴーレムを眺めながら、俺はそんな言葉を口にした。
外装に依存するのであれば、後で自分が用意できる最上級の素材を進呈するとしよう。
「ただ、俺って金属加工マジで不得意なんだよなぁ……」
そう言って、俺は頭を掻く。
俺は残念な事に、物質の操作が全然出来ない。もう、さじを投げたくなるぐらい無理。
あくまでこれは予想に過ぎないが、これまでの傾向からして恐らく土属性に適正があれば、出来たのではないかと思う。
「まあ、無いものねだりしても仕方ないし、別に絶対に出来ないって訳では無いからな……。んじゃ、おーい! 戻って来ーい!」
俺は離れ行くゴーレムへ、声を上げた。すると、ゴーレムは再びクルリと向きを変えたかと思えば、こっちに向かって走り出した。
そして、俺の前で停止する。
「よし。取っておきの外装は後で作るとして、その前に名前を決めないとな……」
命令する時に、名前があった方が都合が良い。そう思った俺は、どんな名前にしようか軽く頭の中で考えた。
そして――
「……うん。ロボさんでいっか」
なんとなくという酷く曖昧な理由で、俺はこのゴーレムに名前を付けた。すると、ゴーレム――ロボさんはプルプルと震えだし――
「ハイ。ワタシハ、ロボサンデス。ヨロシクオネガイシマス。マスター」
なんか唐突に喋れるようになった。機械の自動音声みたいな感じで。
そして、それと同時にロボさんと何かで繋がったような気がする。魔力的な……何かで。
……訳が分からん。
「……うん。まあ、意思疎通が取れるようになったって事で、良しとするか。そんじゃ、これからよろしく。ロボさん」
良く分からないが、長い付き合いになりそうだ。
そう思いながら、俺はロボさんに手を差し伸べるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます