第16話 伯爵令嬢になった世界では、大切な人に囲まれ毎日が輝く

 フレッドが爵位を継ぐと決めて数ヶ月間、フレッドとお父様は入学試験や手続きなどに追われ、忙しそうに日々を過ごしていた。


 そして今日で私がこの世界に来て一年。


 初めは分からないことだらけで、正直今でも分からないことの方が多いと思う。


 でもここに来る前の独りぼっちだった私と違って、今は支えてくれる人がたくさん居る。友達も大切な家族だって居る。


 今日から私はついに二年生になる。一年前、ワインレッドの膝上までのワンピースに対して抱いていた恥ずかしさは、もうすっかりと消えている。


 馬車が学園に到着すると、黒色のローブを羽織ったブルーブラックの髪は一足先に降りると、手を差し出してくれる。


「行こう、アンリ」

「うん!」


 私はその手を掴むと馬車から降りた。


 今日からは、一人で学園の門をくぐる事は無くなる。隣にはフレッドがいて、クラブの部屋に向かえば、いつだってみんなにも会える。


 これからどんなことが待ち受けているのか全く想像つかない未来でも、みんながいれば何だって乗り越えていける、そんな気がしている。

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伯爵令嬢になった世界では、大切な人に囲まれ毎日が輝く 月乃くも @Tukikumo_days

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