やましきウソ慣用句の世界
「因果応報」とか「信ずる者は救われる」とか「求めよさすれば与えられん」とか、この辺りはホントである。自分がやった悪意は不思議と巡り巡って還ってくるし、信じる能力にはそれそのものの力があるし、どれだけ高望みをしても妙な形で必ずそれは叶えられるものだ。
一方、「努力は必ず報われる」とか「天才と凡人は違う」とかこの辺りはウソである。人間は誰しもただの人間で、能力の大きくかけ離れることはあっても天から何かを授かることはない。凡人などという生き方も無い。「努力は必ず報われる」とかあり得なさ過ぎる。何の話をしてるんだろうか?
ホント慣用句だけが流布していけばいいのだが、うまいことそうならない。ウソかホントかを見分けるエビデンスは何一つ存在しない。言説は言説のまま流通するので、実人生でもって追認する以外に、真偽の確かめようがない。
ウソ慣用句も平然と、しかもなかなかの影響力を持って堂々と掲げられている。しかもウソ慣用句が運良く(運悪く)達成されてしまったり、ホント慣用句が達成されるまで時間がかかってしまったりすると、人生のスケール感を大きく取り違えてしまったりする。そうなるともう別世界を生きているようなものだ。でそのまんま万事上手くいってたりする。あゝ人生。
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