第二章 《庁舎の惨状》

2024年 4月 8日 5:00


 昨日は疲れていたから、その後に案内された部屋で寝てしまった。

 あんなことがあったのに。まるで何もなかったかのように。私は熟睡していた。

 少し、自分がいやになった。


 二人は死んだのに、私だけが生き残っている。

 そんな状態が、まるで私が彼女たちを犠牲にしたみたいで、苦しかった。



  改めて、庁舎を眺めてみる。

 大きくて、堅苦しい。けれど、周りから浮いているわけでもなく、地味にたっていた。

 周りが柵に囲われているのが功を奏したのだろうか。ゾンビの侵入を完全に防いでいた。


「おはようございます、加藤さん。今日は、お散歩日和ですか。」


「あ、宇津木さん。おはようございます。」


「実は、ここもそんなに食料がなくて、あと一週間ってところなんです。」


「そ、そうなんですか!?」


「なにか、案がありましたら、教えてください。」


「はい、分かりました。」


「あと、食事は朝7:00に配られます。急いだ方がいいですよ。」


「ありがとうございます。では、いかせていただきます。」


 みんな、精一杯生きているらしい。

 おこぼれにあずかろうかな。


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