2024年 4月 7日 17:00


 なんだかんだあって、避難所まで来ることができた。


 鹿野さん、さすがです!


 本来の予定から一日遅れになる。かなり、遅くなってしまった。


「おーい、宇津木ー!」


 鹿野さんが戸をたたいている。なかなか来る気配がない。

 そろそろ日も沈むので、早く来てほしいが、相手もまさか一日遅れて到着するとは思ってなかったのだろう。


「うっ」


「佐々木さん、大丈夫?」


 佐々木さんが、ここに来るときに転んでしまってできた傷をいたそうに見ている。

 出血していたので、公園の水で洗っていた。


「佐々木さん!?」


 佐々木さんが気を失って倒れてしまった。

 そして、傷口から肌が緑色に!?


「お、おい。何かあったのか・・・っておい!? 佐々木、起きろ!」


 佐々木さんは、ゆっくりとうなずいて、


「逃げて・・・・・・二人とも・・・ 私、抑えきれなくなっちゃう・・・」


「そ、そんな・・・」


「おい、何言ってんだよ!?」


 どんどんと、緑色になっていく佐々木さん。

 それは、まるで佐々木さんの存在をなくしていっているようで、おぞましかった。


 私は、友達を、おぞましいと思っ・・・



「逃げろ・・・」


 え?


「行け! もう、私もだめらしい。」


 か、鹿野さん!?


バンッ


バンッ


 二人の体を、銃弾が貫いた。


「いや、驚いたよ。」


「な、何!?」


「あ、何でもないよ。こっちの話。」


 後ろから宇津木さんが現れた。助けてくれたらしい。


「二人はもう助からない。諦めて。」


 辛辣に言葉を告げられた。

 確かに、それへ、事実かも知れない。でも、私としては、もう少し希望をくれてもいいんじゃないかな、と思った。


「入りな。」


 宇津木さんは、そう、一言だけ吐き捨てて、去って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る