第22話—迷宮攻略4—

 最深部に入ると、そこには一人の無表情な男が立っていた。衣服は現代のものというよりは、一つ前の時代の魔動機文明時代を思わせる服装をしていた。

「お待ちしておりました。あの魔法を切り抜けられたのはあなた方が初めてです」

 交易共通語でそう話すと指を鳴らした。すると奥から、八足の脚の魔動機(*魔動機とは、魔法技術によって生み出され、生物のように行動するものたちのこと。ほとんどの魔動機が命令に従うのみ。)が1体出てきた。

「さぁ、最後の試練です」

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「まぁ想像はできてたけどさ・・・もうちょい戦いから離れようよ・・・もうちょい平和的な解決方法とかないわけ・・・?」

 ぐったりした顔で、イリスがつぶやいた。しかしそれで魔動機が待ってくれるはずはない。シルヴィアは、先ほどから魔動機全体を確認していた。

「・・・うん!こいつはレイルウェイカノン!刃系の武器は攻撃しづらいから今回はあまり打撃を与えられないかも・・・」

「それいったら、今回はほぼみんな刃武器だよ・・・」

 シルヴィアの解説に、レオは苦い顔をした。魔動機によって違うが、今回のように刃系武器からの攻撃に強い魔動機もあるし、魔法に強い魔動機もあるのだ。レオ達のパーティは、ほとんどが刃武器なので、あまり今回は攻撃してもそこまで打撃を与えることはできないだろう。クライドの武器はヘビーメイスで打撃武器だが、攻撃というよりは彼自身防御に徹しているので、あまり攻撃力を求めることはできない。(それでも並み以上の力はあるのだが・・・)

「まぁ私に任せてよ。サクッと魔法で倒しちゃうからサ!」

「弱点物理攻撃だけどね」

 ノリノリで決め台詞をいったつもりのイリスだったが、シルヴィアから弱点を聞かされ少し傷ついた顔になった。

「うん・・・知ってたヨ?」

 一応イリスも学者の心得はあるため、レイルウェイカノンの存在は知っていた。弱点までは知らなかったが。

「ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!戦闘ヲ開始シマス!」

 そうこうしているうちに、レイルウェイカノンは攻撃態勢に入り始めた。クライドは前に立ち、守りの態勢に入った。

「もうのんびりしてる場合じゃねぇぞ!腹くくれ!」

 このクライドの一声で、戦闘は開始された。

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「そぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



            カ――――――――――ン



 カレンが放った拳は、甲高く鈍い音を部屋中に響き渡しながら、レイルウェイカノンに打撃を与えた。続くギルバートの攻撃は相手のほうが速く動いたため、空振りに終わってしまった。

(あんまり打撃が与えられないのはわかってやっているけど・・・やっぱりきついな・・・)

 レオは心の中で苦笑すると、あらためて今の状況を確認した。今クライドはイリスとシルヴィアを守るので精一杯。ギルバートとカレンとレオが主体となって攻撃をしているが、なにせ部位が多いのでまだ終わりが見えていない。おかげでけっこう疲れてきている。ただ解決策が無いわけではない。神官であるレオが攻撃魔法を使うことだ。いつもなら、回復魔法のためにあまり攻撃しないのだが、今回は相手が相手だ。割り切って短期戦に持ち込む他はない。覚悟を決めたレオは手を伸ばし、レイルウェイカノンに向かって気弾を放った。

「【フォース】!」

 この攻撃も、あまりたいしたダメージを与えることができていない。しかしそれでも物理攻撃と合わせていけばかなりの痛手になっていくはずだ。

 このゴリ押しを行い数十分立つ頃には、レイルウェイカノンは倒されたのであった。

**************************************

「あなた方の戦いぶり、見させてもらいました。あなたこそ、この“東雲”に相応しい使い手です。ぜひあちらの剣をお取りください」

 そういってわきにずれた。その先には、先ほどまで見えなかったこの迷宮を作っていた魔剣の姿が見えた。

「ではありがたく頂戴させていただきます。では・・・」

 レオは力を込めて、剣—東雲—を引き抜いた。次の瞬間、迷宮は崩れ始め、外に出ていた。

「長かったねー・・・まぁでもおめでとう!レオ、新しい剣が手に入ってよかったじゃん」

「まぁね・・・だけどこのフランベルジュを手放すとなるとちょっと寂しいな。長い間世話になったし」

「そっか・・・でもフランベルジュも使ってもらえる喜ぶと思うよ!」

「ありがとう、まぁやっぱり“軍”にでも寄付するかな。あそこが一番つかってもらえそうだし」

「おめーらの感性やさしいな。いやいいんだけど」

 先ほどまでのレオとシルヴィアのやりとりを見ていたギルバートは思わずそんなことを口にしてしまった。

「・・・ねぇあそこで戦っているのってさ、ロークじゃない?あたしたちも加勢したほうがいいよね?」

 カレンが指を指している方向を見てみると、確かにロークらしき人物と、シャドウの青年が戦っていた。

「なんでロークがここにいるんだ・・・?」

第22話—迷宮攻略4—完



次回予告

イリス「作者、根性ないにゃん。戦闘シーンをしやがったにゃん」

シルヴィア「実力もまだまだですにゃん。このままだといつまでたっても戦闘シーンが苦手なままだにゃん」

クライド「まぁ次の話から頑張ってもらいたい・・・にゃん」

ギル「いや無理に言わなくていいから。というかなんでにゃんつけてんだよ?キャラ的に・・・まぁここ本編と関係ないしいっか」

カレン「ギル、ノリ悪いにゃん!私だって言ってるのにゃん!犬だけど!」

ギル「お前狼だろ!!ええいもういい。ローク終わるぞ」

ローク「次回、第23話—迷宮攻略の裏で・・・—お楽しみだにゃん」

ギル「お前ものるかよ!」

レオ「結局ギルは恥ずかしいのでニャンとはいわにゃかったのであった。次回もよろしくにゃん」

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