第21話—迷宮攻略3—
レオ達が眠っているころ、彼らの後をつけていたライゼもまた眠っていた。しかし彼は砂漠ではなく薄暗い窓が一つもない部屋にいた。
(嫌な場所だ…これは魔剣の影響か?)
やがて一人の壮年の男がその部屋に入ってきた。ライゼはその男を見た途端、トラウマが呼び起こされた。忘れもしない、それは彼の唯一の家族である妹の命を奪った男の顔だったのだ‼思わずダガーを取り出し投げつけてしまったが、それは男を透かして通り過ぎてしまった。男はライゼに近づくと、彼の頬に触れ、耳元で小声でささやいた。
「いやぁ!お兄ちゃん!かたき討ちはできないよ?わかっているくせにやめられないんだねー・・・これも人間だからかな?」
もう一度、彼に向かってダガーを振りかざした。しかし結果は変わらず、空を切ったような感触がした。
「まぁいいよ。これは君の想像にすぎないからね。次会える時を楽しみにしているよ。それではまた会おう」
そう言い残すと、男は消えていき、やがて幻影も解かれていった。彼が気が付いた時には、レオ達と同じように地べたに倒れていた。彼は起き上がると、レオ達がまだ前側で寝ているのを確認し、すぐさま距離を開けた。このときライゼは、誰も自分がこの場にいることに気づいていないと思っていた。やがてレオ達が起き上がっている姿を確認し、距離を取るのであった。
**************************************
「えっと・・・“二人の英雄、ここにあり。彼らの名を知るもの、その名を答えよ。一人は暁の空をすべるもの。もう一人は黄昏の空をすべるもの”・・・だってさ。大体わかるけど、名前なんだっけ・・・?」
シルヴィアはあごに手を当てて考え始めた。幼少期のころ、一度は読んだ“あの物語”。この場にいる誰もがそれを思い出そうとしていた。
「一応聞くが、あれだろ?“穢れし二人の英雄”のことだろ?なんだっけ名前・・・というより、名前って出てきていたか?」
ギルバートが疑問になり、誰となく聞いてみた。シルヴィアが長い間考えた末、結論を出した。
「探せば、出てくると思うよ・・・だけど地方中からかき集めればの話だけど・・・」
「さすがにそれだと時間がねぇな。軍が動いちまう」
クライドがため息交じりに答えた。その話をずっと横で聞いていたイリスは申し訳なさそうな顔をしながら、シルヴィアの顔を見た。
「・・・ごめん、“穢れし二人の英雄”って誰?」
その反応を見て、この場にいた全員は驚いた。何しろフォルディウス地方近隣の地方では知らない人はいないくらいの知名度がるからだ。
「私でも知ってるよ。イリス、それはまずいんじゃないの?」
カレンだけには言われたくなかったと思ったイリスだったが、知らないものは知らないのである。本当に知らなさそうだと感じたレオは、ざっくりと話し始めた。
「穢れし二人の英雄っていうのは、とある二人のナイトメアがモデルになっているといわれているんだ。ハエレティクスと長い間戦っていて、螺旋13卿も倒したこともあるそうなんだ」
イリスはそれを聞いた途端、とある光景が彼女をフラッシュバックされた。そこには赤い髪をした男と、藍色の髪をした男が映っていた。
「・・・ス、イリス!大丈夫?しばらくなんかボーっとしていたけど・・・まさかなんか思い出して昔の力を取り戻したとか?!」
「いやそれはないから。あと思い出したけど、暁をすべるものの名は“モルゲンロート”、黄昏をすべるものの名はクレプスクルム・・・だったはずだよ」
カレンのボケを華麗にスルーし、イリスは記憶から思い出した情報を伝えた。
「・・・なんで知っているの???」
思わず口調が裏返ってしまったシルヴィアだったが、なんとか冷静を保つことができた。
「さっきから思ってたんだけど、そんなにすごいの?その穢れし二人の英雄って」
『だってかっこいいじゃん!』
イリスの質問に満場一致の回答に若干引き気味になってしまったが、どこがいいのかさっぱりわからなかった。
「じゃ、さっそく試してみますか・・・!」
そういうと、魔法文明語がかけるシルヴィアとイリスが両端に行き、それぞれの言葉を書いた。すると次の瞬間—
ゴゴゴゴゴゴゴッ
大きな地鳴りとともに、扉が開いた。
「じゃ、いこっか!」
こうしてレオ達は、最深部へ足を踏み入れるのであった。
**************************************
「まったく私がこんなことをすることになるとは・・・はやく終わらしてレオ達と合流したいものです・・・」
一人だけ今回の依頼に参加できていないロークは、少し寂しい思いをしていた。しかも初の他地方への依頼だったので、かなり楽しみにしていたのだ。
彼の今回の依頼は、とある人物の捜索である。そしてそのとある人物はジュモー地方のとある人物たちを尾行している。
「まったくさっさと終わらしましょう。こんなどうでもいいことを」
第21話—迷宮攻略3—完
次回予告
カレン「祝!!!100PV越え!」
レオ「読んでくださった方々誠にありがとうございます!」
イリス「途中で次回予告を書けなくなるようなヘタレ作者ですが、今後ともよろしく お願いします!!!」
ギル「貶すな。ただ作者も気力が限界みてぇだからそろそろ終わるぞ。ローク、頼む」
ローク「次回、第22話—迷宮攻略4—お楽しみに」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます