第20話—迷宮攻略2—
入った迷宮の第一層は、霧に覆われていた。視界が悪く、周囲の人間は何とか見える程度で、罠などがあったらひとたまりもないだろう。どうやら部屋の中に大きな置物が数体あるようだ。
「カレン、罠とかありそう?あったら解除をお願いしたいんだけど・・・」
「すまん今話しかけてるの俺、ギル」
「あれ?!ごめん!じゃあカレンどこ?」
レオが混乱していると、遠くから声がしてきた。
「罠は解除したし、下の階への扉見つけたよー!」
早いな・・・と思いながらイリスは恐る恐る近くの壁に触ってしまった。
次の瞬間—
“ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ”
「・・・ん?」
イリスは嫌な予感がした。
「・・・イリス、なんか変なとこ触った?」
シルヴィアが笑顔でイリスに聞いてきた。それはどこか圧がある笑顔だった。
「ウウン?何モシテナイヨ?」
「嘘をつくな!ばればれだ!」
明らかにイリスの目がおよいでおり、ギルバートは思わず呆れてしまった。
「はいはい。とりあえず動き出したこのガーゴイル倒しましょうか。」
壁を押して動き出したのは、ガーゴイルだったのだ。それも4体。とはいえ、あまり彼らの敵ではないわけで—
「よし倒した」
数分後には、欠片だけが残っているのであった。
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「まぁ下の階への階段が見つかったからいいんだけどさ・・・もう少し慎重にいこうよ・・・心臓に悪いから・・・」
明らかにぐったりしているレオに神経質すぎだとギルバートが彼の肩を軽くたたいてからかった。無言でそれをはたくと、軽くギルバートを睨んだ。
「そう怒るなよ?まぁ長所にも短所にもなるけどな、お前のその性格」
「そりゃどーも」
下の階へ降りると、砂漠が広がっていた。外との寒暖差が激しく、シルヴィアは少し調子を崩してしまったようだ。
「今日はこのへんにして休もう。地上ではそろそろ夜だろうし」
レオは野営の準備を始めた。その様子をみて、シルヴィアは少し安堵した様子に見えた。
「・・・ギル、いいかい?ああいう気づかいができる男がもてるんだよ」
「うるせえ」
そうだとしても
「しっかし迷宮の中に砂漠とは・・・ここの剣を鍛えた奴はどんな人間なんだ?・・・」
保存食を取り出し、みんなに配り始めたクライドはぽつりと呟いた。真っ先に保存食をかじっていたカレンは、そんなのお構いなしに二つ目に手を伸ばしている。
「でも普通の迷宮っぽいでしょ。私が前に入った迷宮なんかはひどかったよ。やたらチーズケーキを作る羽目になったし・・・」
なぜチーズケーキ?っと思ったが深く突っ込まないことにした。食べたくなるからだ。
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次の日、何も問題なく一夜を過ごしたレオ達は、砂漠を探索していた。といっても上がってきた階段以外の目印が何もないので、とても苦労していた。
「下に続く階段とかもないね~」
「というかこれどこまで続いているんだ・・・?」
そろそろちゃんと帰れるのかという心配もしながらレオ達は進んでいた。しかし3時間たっても目印一つ見当たらないので、そろそろ不安になってきた。
「・・・さっきから同じ場所を歩いている・・・ってことはないよね?」
シルヴィアが少し不安になり尋ねた。ここまで何もない以上、その可能性もあり得るのだ。
「たぶんそれはないんじゃないかな全体がわからない以上、今どのへんなのかわからないけど・・・」
「もぉー‼暑いから夢なら覚めてよー‼」
カレンが大声で叫んでいるのを苦笑していたレオだったが、ハッとした。
「・・・そうだ!幻覚だ‼」
次の瞬間—
「・・・う・・・ここは?」
レオ達は部屋の中に倒れていた。後ろには長い回廊が続いており、降りてきた階段が端に見えた。
「なるほど・・・幻覚か・・・」
レオに遅れてイリスも起きてきた。大きく一度体を伸ばすと、あたりを見回した。部屋はほぼ円形で、奥に大きな扉があるだけのようだ。
「シルヴィア!ギル!起きろ‼」
しばらく揺さぶっていると、残りの人たちもゆっくりと起き始めた。その後数秒ボーっとしていたが、だんだんと意識を取り戻していった。
「たぶん・・・というかぜってぇあの扉から降りるだろ。他に見当たらねぇし」
扉に向かって歩きながらギルバートは意見を求めた。カレンはまた保存食をかじっており、二つ目に手を伸ばそうとしていたのをシルヴィアに取り上げられていた。
扉の前まで来ると、さっそくカレンが扉の周りに罠がないか探し始めた。
「罠はなかったけど、この扉魔法がかかっていて開かないみたい。なんか扉に文字もあるから、シルヴィアとイリスお願いできるー?」
シルヴィアとイリスは頷くと、扉の前までいった。扉の文字を見ると彼女たちの顔色が変わった。
「—これって—」
第20話—迷宮攻略2—完
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