第12話 曇り空
昨日も今日もきっと明日も明後日も。私の毎日は変わらない。暗くて雲で太陽が見えないような空。あぁ学校に行く意味ってあるのかな。学校に行っても誰かが待っているわけでもない。自分も行って楽しいことが一つもない。今日学校休もっかな。私は初めて仮病というものを使った。その日は何も考えずに寝ることにした。
ピンポーン
私はこの音で目が覚めた。インターホンを見るとそこには彼が立っていた。
「先生に頼まれてプリントとか色々持ってきたよー!体調大丈夫?安静にしててね」彼はそれだけ言ってポストにプリントを入れて帰った。正直今一番会いたくない相手だった。前、までの自分なら大歓迎していたことだろう。でも今はなぜか顔を見るだけでも嫌になる。きっと彼を見ると学校のこと、音楽のこと、そして今までの思い出すべてを思い出してしまうからだろう。最初から彼と出会わなければよかた。そうしたら今も普通に前と同じように学校に行っていたはずだ。すべて彼のせいで…。私はそこまで考えて今自分のしていることに気がついた。彼に八つ当たりをしてしまった。彼は何も悪くないのに。むしろ彼は学校の楽しさを教えてくれた。音楽の楽しさも教えてくれた。大切な思い出もくれた。今までが楽しかったのは全部彼のおかげ。私は彼に謝りたくてしょうがなかった。気がつくと私は家を出て走り出していた。でもどこにも彼の姿は見えない。それでも必死で走り回った。するとかすかに彼の声が聞こえた。声のする方向へと進んでいく。そこは小さな公園だった。前彼と一緒に行ったことのある公園だった。でもそこにいたのは彼と片白さんの姿だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます