第10話 欠けていく幸せ
そこからというもの私は毎日が幸せだった。朝早くから起きてピアノを弾いたりととても楽しかった。そんなルンルンな気持ちで学校に向かう。するとそこには今日も笑顔で彼が待っている。「おはよう」と挨拶を交わす。こんな何気ない日常も君がいなかったら絶対になかった。こうして毎日笑顔で楽しく生きていられるのはきっと君のおかげ。私は心のなかで「ありがとう」そうつぶやいた。「ねえねえ聞いてる?」えっ?あぁ「ごめん違うこと考えてた」そう言うと「なんか七海ってそういうとこあるよね」七海……家族や親戚以外に名前で呼ばれたのっていつぶりだろう。私はなんだかとても嬉しくなった。
「じゃあ最初から通すよ!!」
とうとうコンクールまであと一週間になってしまった。まだまだ磨きをかけれる部分もあるけど音楽が大嫌いだった頃の私と比べればとても上達していると思う。そして彼も私にそう言ってくれた。「あぁ幸せだな」私はいつの間にか毎日がとてつもなく楽しくなっていた。でも、幸せはいつかきっと壊れてしまう。
わたしは放課後呼び出された。「あのさ、蒼井くんにベタベタすんのやめてくんない?」
「でも….」私はなんとか反論しようとしたけど「なに?口答えすんの?あんたなんかがそんなことしていいと思ってるの?」私はとても怖かった。でも彼女 片白紗友里(かたしろ さゆり)は学年の中心人物。先生にも好かれている。だからそのまま黙り込むことしかできなかった。「今度は黙っちゃったー笑?お前が蒼井くんの隣りにいる資格ないんだよ。そもそも蒼井くんは私の彼氏なの。私の彼氏を奪うつもりなの?」 「え…?」私が聞き返す間もなく彼女は私のことを睨みつけて去ってしまった。
蒼井くんの彼女...?たしかに彼はとてもモテると思う。それにそんな彼の彼女が私であることもおかしいと思う。でも今まで過ごしてきた時間が嘘で本当の彼女は片白さんなんて…。絶対そんなことない。わたしはそれ以外のことを考えるのが怖かった。
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