第5話 本当の気持ち
今日も学校につくとキラキラとした笑顔の君が待っていた。昨日のことがあって少し恐怖心があったが、彼は全然そんな事を気にしていない様子だったので私あは少しホッとする。でもその安心はすぐに打ち消された。「天音さん。なにかあるんなら話聞くよ?」えっ…もしかして私が怖がってたの気づかれた?それとも本当は音楽が大嫌いだなんてことに気づいてしまったの?私の頭はパンクしそうだった。でも彼は「別になにもないんならいいんだけどさ。何となくいつもより顔が暗い気がしたからさ。だから気にしないで」と私に言葉をかけた。昨日の家族とのことがやっぱり顔に出ちゃっているのかな…まぁ気持ちを切り替えていこう。でもやっぱり朝からこんなことがあったら午後の授業でもあまり集中できない。やっと授業が終わった。それに今日は部活も休み。でも家に帰ったらピアノの練習か…そんなずっしりとした重りが私に乗りかかってくる。でも彼が一言でおもりを取ってくれた。「今日一緒に勉強しませんか?」私は「うん」と答えたら「珍しく乗り気ですね」と笑われてしまった。まあ確かに今まではいやいや付き合っていたけれど今日は部活もないし変えると逆に暇だったのでちょうどよかった。また彼と他愛もない会話をしているうちに目当てのお店についた。そこで私達はドリンクバーを頼んで勉強会をスタートする。でも結局勉強はほとんどせずに帰る時間になってしまった。でもまぁ楽しかったしいいや。「今日はありがとう」と声をかけて家についた。あれ、私さっき彼と一緒にいて楽しいって思っちゃってた?なんだろうこの感じは。というかなんで私は彼のことを考えてるんだろう。彼は真反対にいるはずなのに。私とは違う世界にいるはずなのに。彼のことが嫌いなはずなのに。憎んでいたはずなのに。私は彼に対する気持ちがわからなくなってしまった。彼と一緒に話したこと。一緒に放課後練習したこと。彼と過ごした時間がよみがえってくる。もしかしたら私は彼が羨ましいんじゃなくて彼が好きだったのかもしれない。今思えば彼と一緒にいるときはいつも心が笑っていた。私は彼がいたらどこまでも前へ進める気がする。そう思って私は今度彼に私の本当の気持ちを伝えてみることにした。
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