第33話 『疑問:オレはいったい誰のために書いているんだ?』

 ぼんやりとした疑問が頭で点滅している。


 それは、青になっても発進しない車のような物だ。


 周囲の車は発進するのに、自分はまた赤信号を見ている。


 後続車に、クラクションを鳴らされそうになっても、まだ、アクセルを踏み込めない。


 一体、自分は何を待っているのだろう?




 別段、日常生活が苦しいわけでも(もちろん、楽ではない)、人間関係が上手くいかない訳でも、創作活動で行き詰っている訳ではない。


 暇人が、考える愚問の代名詞。


「オレは、いったい誰のために書いているんだ?」


 読者からの反応はない。「つまらない」とも、「おもしろい」とも、「平凡」とも、波すらない。静かな湖畔だ。


 新作を書くネタはある。それなりに面白いであろう。だが、それは誰が面白いのだ。で、筆が止まる。




 と、言うのも、拙作『タイムスリップ×魂入れ替わり! 歴史オタクの高校生が戦国武将に⁉』は、単純に、歴史・戦国時代好きの星川が、戦国時代を誰になって疑似体験したら面白いだろう。


 そうだなあ、戦国一番の大戦は、「関ケ原の戦い」だ。勝者の徳川家康やと、おもろないなあ。それならば、西軍・石田三成。三成は人格的に欠点の多い人物、その三成が、天下の徳川家康を相手にするのに、選んだ軍師・嶋左近なら面白かろうと筆をとった。


 嶋左近と言う人物は、いくつか小説になされてはいるが、徳川家康と大戦するために雇われた軍師にしては、資料に基づかれた先達の作品は、小粒でとても家康の向こうは張れない。


 そこで、WEB小説は、異世界転生などの荒唐無稽な要素を使えるということで、家康をぶっ倒すくらいの器量人に作り上げるために、黒田長政だかが伝えた、左近の言葉、


「昔、ワシは、家康を追い詰めたことがある」


 との、出所の怪しい逸話を採用して、ならば、武田家と徳川家の三方ヶ原の戦いだと、目星をつけ、家康を追い詰める山県昌景の弟子、嶋左近を創作した。


 本筋の歴史ファンには、人気がない。


 まあ、拙作は、歴史好きの星川が、戦国の世を自由自在に生きるUSJ的な疑似戦国体験をしているから満足している。


 読者は、置いてきぼりだが、作者は、毎週、自分で未知の新しいエピソードを体験して面白い。



 ここまでは、いいのだ。


 だが、ぼんやりとした疑問。


「オレは、いったい誰のために書いているのだ?」


 それがないから、固定の一定の読者はいるが、爆発的に人気の出る作品にならないのではないか?


 ちょっとね、己のために書くのに飽きてきた。かといって、ロートルの星川にライトノベルが書けるかと言えば、無理そうでしょう。


 ちょっと、前に書いた『スポットライト:金の微笑みと黒い涙』あれが、かなり、ライトに書いたつもり。


 まったく、ライトノベル界隈で、未熟なのは承知している。


 才能がないのは自覚しているが、努力すれば、まだまだ、伸び代しかないはずだ。


 ただ、やっぱり、「誰のために書くかだ」


 それが、ないのに気がついた。


 それって、一番重要じゃん。


 宛先の無いラブレターって、なんのこっちゃわからんやん。


 あの芥川龍之介でも、「文ちゃん、ラブラブ、ちゅっちゅ、ちゅっちゅ♡」的なラブレター書く訳じゃん。


 オレは、一体誰にラブレターを書けばいいのか……。



 まあ、昨今の楽しみは見つけている。これを、見てくれてるかどうかは、知らないが、君が機嫌がイイのが一番気分がイイ。


 まあ、散文で、よくわからない文章になったけれど、しばらくは君が機嫌よくいてくれるように書こうとおもふ。


(あ、基本、頭悪いし、すぐ忘れるからどこまで、つづくかはわからない。とりあえず、ここのエッセーは出来るだけ君に当てて書く)


 断っておくが、ダメ人間だから、いつもポジティブとは限らないし、善良だとは限らない。


 最後に、一言。


「君が笑顔で機嫌がイイのが一番、一日が楽しいよ。ありがとう」



 尻切れトンボだけど、今日は、ここまで。


〈了〉



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る