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夢なんだな。
そう思ったのは目の前にいた彼女が今はもういないことを自覚したからだ。
会話の内容はめちゃくちゃでおそらく彼女は泣いていたんだろう。
俺はその反応に困りながらも冷めているような気がした。
どうせもう俺の前にはいないのに。
その後、場面は変わってまたくらい道に出た。
俺はその道を歩きながら変わらない風景を見て自嘲する。
まるで俺みたいだ。
変われなかったのか、変わろうとしなかったのか。
昔から悲観的で諦念を持って限界を近いところに置いていた。
葉擦れの音がする。
どうやら道の途中に木があったようだ。
そこに彼女がいた。
自分を死神と言う彼女だ。
「こんなところで何をしてるの?」
前から疑問だった言葉を口にする。
彼女は少し少しためらった後、口にした。
「あなたを見ていたの」
「どうして? 」
「あなたは自分で自分を殺そうとしていたから」
「引導を渡してくれるのか? 」
「ううん」
俺は困惑した。
彼女はようやく俺を赦してくれる存在だと思ったから。
「首を吊ろうとしてるところ見た。 車が走ってるのを分かって車道に出た」
「全部失敗したけどね」
「私のせいなんだ」
「君は死神じゃないのか? 」
「ううん。 死神だよ」
「ただ、私は人の死期を操れるだけ」
葉擦れの音が大きくなる。
彼女と俺の周りに街頭のようなどこか寂しい光が注いでいた。
「あなたが死ぬのはまだ先」
「どうしてそんなことをするの? 」
「見てみたいの」
「何を」
「あなたが選択するのを。 この世界をもっと知ろうとするところを」
「俺にどうしろと」
「私も知らないから。 だから、見てみたいの。 あなたが世界をどう感じてどう終わらせるのかを」
そうして彼女はいなくなった。
眠りから覚める。
少し気だるかった。
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