第20話 中立と心配
「まぁいーわ...」
ラクは溜息を吐く。
「そういえばラクさんとハルさんは戦ってたんですよね。...なんか邪魔しちゃってすいません。」
「いや俺等も戦ってたからお互い様だろ。」
「それもそうだね。」
ノースとイチは現れた真っ暗な廊下から帰っていく。
(...そういえばここの廊下、あったっけ)
ハルの記憶ではここに廊下なんて無かったように思える。
「今思ったわ。貴方と戦っても殺せないから戦う意味が無い。つまり私が不利だから逃げるわ。」
「あっおい!」
ハルが手を伸ばすもラクは一瞬にして消えてしまった。
「あぁ...無理だった。倒せなかった。」
「ハル!!大丈夫!?」
ハルが呆然としていると後ろからニコーンが来ていた。
ハルは後ろを振り返る。
「あ、ニコーン...ごめん、逃げられちゃった。」
「そうなの?まぁ仕方ないね...」
「怪我してない?」
ニコーンの後ろからアイナ先生が覗く。
先生の手は少し震えているような気がする。
「先生。怪我はしていないので大丈夫ですよ。」
「よかったぁ〜...」
彼女は緊張していたであろう体から力が抜けた。
彼女は動物のみが好きと思われがちだが、勿論人間も好きだ。特に、よく関わっている人は。
「そいや、こんなとこに廊下ってあったっけ?」
ニコーンも同じような疑問を述べる。
「僕も思ったんだけど...」
「あぁ、ここはイチさんとノースさんが専用で作った戦闘所なのよ。」
先生が答える。
「へぇ〜...でも言われてたっけ?」
「言われてないわね。普通に作り終わった後に作ったことを聞かされたから私もめっちゃびっくりしたわ。」
(にしても、あのラクって悪魔...殺せないという発言...)
ハルの中では何かが引っかかっていた。
まるで自分達のいるこの学校で何か壮大なことがあり、その中心人物が巻き起こしているすれ違い。
「じゃ、私はこれで!もうすぐ夜だから寝る準備してね〜」
「先生さようなら〜」
「さようなら〜」
―――――
「...ねぇ、ハル。このエアコンをどうするつもり?」
「まずは解体をしてみようと思う。それで、部品全部調べて、全部メモする。」
僕は前世で技術科に進んだ。
大抵の珍しくない部品なら知っているし、一回小さい頃に扇風機の仕組みが気になって分解したことだってある。メモをし忘れて扇風機を元に戻すことができなくて怒られたけどね。
「にしても、キャットに見つかりかけていたのはちょっと焦ったな...」
「よぉ」
後ろから声がかけられる。その声には聞き覚えがあった。
この声は...
「!?!?!?!?!?ビットちゃん!?」
僕が反応する前にニコーンがびっくりする。
そりゃ家族だからすぐ名前を言えるよな...僕はすぐに思い出せなかった。あまり話していないからというのもある。
「なんか二人共いつもどおりの挙動じゃなかったから気になってな...来てみたら...もしかしてこれがキャットから聞いてたエアコンってやつか?なかなかおもしろそうだな...なぁ、俺も加わっていいか?」
「うーん、ビットなら大丈夫かなって思うんだけど、ハルはどう思う?」
「あ、あぁ...どっちにしろもうバレてるし。」
「じゃ、エアコンの解体を一緒にするかぁ」
こうして、ハル、ニコーン、ビットの3人で、秘密の場所...もとい、ニコーンが偶然見つけた『隠し部屋』で毎晩集まることになったのだった。
―――――
作者の空野 猫です!!
更新がまさかの二ヶ月ぶり!?!とても申し訳ない...
というのも、私の弟がカクヨムに垢を作ったので、それをサポートしまくってた結果なんですよねぇ...
弟はこちらです!!初心者なので何卒...
https://kakuyomu.jp/users/9664
普段描かれない無機物についての描写が気になる方!こちらの小説もおすすめです☆
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