第11話 マジシャン

 俺はハナマル...いや、ハル。

 今日は、とあるお楽しみ会がある。


「はーい皆さんこんにちは!!!」


 茶髪に薄橙色のリボンが巻かれた白いシルクハット。


「世界を旅し、魔法マジックを極めて...」


 上から大きいスカートを被ったかのような服。


「世界一位の魔法使マジシャンとなった!!」


 どこまでも遠くを見ているような、オレンジ色の瞳。


「リキハです!!!よろしくね!!!」


 マジシャン、リキハ。


 ――――――――――――――――――――


「お楽しみ会のルールは簡単!!」


 皆が一斉にこちらを向く。

 いつ視線を浴びても怖い。


「今から、ここの誰かをワープさせます!!」


 そういった瞬間、皆は多種多様な反応をした。

 めんどくさがっていたり、自分が飛ばされるかなと思っていたり。

 やっぱ、子供って可愛いんだな。小1のリキハがいうのもなんだけど...。


「ワープさせた子達には、リキハのハート、ダイヤ、スペード、クラブのカードが身についています!!なので、わかりやすいです!!」


 皆黙って聞いてくれる。

 よかった、ここの人たちはあまり問題なくれそう。


「皆には、ワープさせた子を追いかけ、捕まえてほしいです!!ですが、ワープさせた子は、リキハのカードの能力を使えるので、捕まえにくいの!!」


 試しに、ダイヤのトランプを使い、糸出し、それを横に伸ばして、壁と壁の間に設置した。

 その場所をリキハが通ろうとすると、罠のように糸に電気が通る。触るとバチバチと音を立てた。


「電気はあまり強くないので、少々ビリビリするくらい。それだけでも保健室送り、少しコケてしまった時点で脱落だったりするの。」

「え〜」

「でも、脱落しやすい代わりに、あなた達は協力できるし、数も多い。あ、能力も使っていいわよ。強くなさすぎないやつだけ使ってね?ワープされた子が大怪我したら嫌だし。」


 まぁ、大怪我するはず無いけど。ハートのトランプが自己再生できるからね。


「あ、ワープされた子の説明するわね。10回技を当てられたら脱落。人数は言ってなかったけど、4人よ。その4人にカードのどれかがついてくる。他に質問ある人いる?」

「はい、リキハさんの能力以外で、自分の能力は使っても良いんですか?」


 水色の髪、ユニコーンと犬のハーフ。

 この子は、ニコーンくんかな...?


「勿論いいよ!!というか、良くなかったら不利だし...」

「わかりました。」


 礼儀正しいんだな〜...。

よし決めた、ワープする一人目はこの子にしよう。


「他に質問がある人いる?」

「はーい!この遊びの名前はなんですか!?」


赤い瞳の中にある、白い矢印型の瞳孔。

ふんわりとした真紅の髪の毛。

彼女は...昨日来たばかりの緋那あかなちゃんかな。


彼女の隣には、青い瞳と十字架型の瞳孔。

サラッとした深層並の色の髪の毛。

彼女も、緋那ちゃんと同じ日に来た、月海るおちゃん。

緋那ちゃんにピッタリとくっつかれていて、ちょっと苦しそうだけど、私は気にせず答えた。


「そうだね〜言うの忘れてたし、なんなら名前もまだ決まってないけど...」


ワープは転移でもある。そして転移された人を皆が捕まえようとするから...


「転移おにごっこ...?」


私がそう名付けた途端、ある男子が、


「だっっっっっさああああああああ!!(笑)」

と、煽ってきたのだった。

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