みかんチキン


 さて。炬燵でみかんを食べながら、目の前に並ぶ4つのみかんを眺める。大学の友達がくれたみかんを消費した翌週、実家からみかんが5つ届いた。


 どうしてみんな燃えるゴミの日の前にこういうものを送ってくるんだろう。みかんは好きだから嬉しいけど、さてどうしたものか。


 みかんパスタは美味かったけど、パスタがない。なんせうちの実家、米農家なんで。米を食べる分にはタダ。パスタを始め、小麦製品は高いと感じるかな。


 当然手伝えるときは手伝うし、これまでだって休日返上で働いた。まあそれが米農家の家に生まれた宿命だと思っている。昔はそれが凄く嫌だったけど。最近生活費を計算するようになったらその存在の大きさに感謝している。あの労働の日々を感謝する日が来るとはね。年を取るごとに好きになったあの田園風景を思い出す。



「ま、そんなことはどうでも良いか」



 とにかく今はみかんの使い道を考えないとな。みかん、みかんね。



「肉食べたいな」



 そうと決まればお勝手に。冷凍庫を開けると小分けにされた鶏肉発見。これでいっか。イメージはマドレーヌジャム? 違う、マーマレードジャムで鶏肉を煮込む感じ。鶏肉がみかんで柔らかくなるかどうかは分からないし、塩麴を使おうか。


 ひとまず鶏肉を解凍しよう。レンジの解凍モードでチンして、その間に耐熱皿に冷凍庫から発掘したほうれん草と玉ねぎ、しめじを放り込む。


 レンジに呼ばれたら鶏肉を取り出して、広げたラップの上で鶏肉に塩麴を塗り込む。これは気分的にやっているだけだから、なければやらなくても大丈夫だと思うけど。


 塩麴を塗り込み終わったらこれも耐熱皿に放り込む。みかんを1つ剥いて、1房ずつ千切って放り込む。これを包丁で切ったら上品かもな。最後に鶏ガラ出汁と塩コショウを適量。俺はちょっと濃いめが好み。


 適量が分からなければ少なめから試すと良い。味が薄ければ足せば良いだけだし。もし入れ過ぎたら水分を足して薄めれば良いんだけど。料理はとりあえずやってみればどうにかなることの方が多い気がする。やればいつか慣れてくるはず。


 さてと。ちょっと真面目な話は置いといて。


 水分を出すのはみかんに任せて、ラップ代わりの蓋を耐熱皿の代わりに被せてレンジに放り込む。鶏肉に火が通るように500wで8分加熱。これであとはレンジに、お任せ! やっぱここでピースするのは定番だよな。



 待ってる間にご飯とスープの用意。とはいえどっちもレンジ調理をするからメインの調理待ち。こういう時にメインがトースター調理だと楽なんだけど。


 冷蔵しているご飯の過熱に1分ちょっと、スープは野菜の過熱に1分とお湯を注げば終わり。



「あ、お湯沸かしてない」



 電気ケトルに水を注いで、台座に座らせたらスイッチオン。メインが完成する前には沸くだろう。


 部屋の中を歩き回りながら人の名前を5人列挙するトレーニング。自分の関心分野の偏りを見極めて視野を広げるためにやっているけれど、やっぱり興味がないと見ないからだいたい同じ分野の違う人ばかり出てきてしまう。


 難しいことだけど、将来は誰かのサポートじゃなくて自分で0から創作する人間になりたい。そのためにできることは何だってやりたい。


 なんてちょっと真面目に夢を見ていたらメインが完成。火の通りは箸を刺して割いて中身を見たら確実。その間に野菜を500wで1分加熱して、それが終わったらご飯をご飯モードで加熱。それが終わる前にスープの方の味付け。


 出汁味噌をジャーッと入れたらお湯をジャーッと入れて、ワカメを入れたらあら不思議。味噌汁完成。終わり。その頃にはご飯も完成。


 今日の夕飯はこれで終わり。


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