第8話
冬
雪が降る季節になってくる。
その前に、薪を確保するためにと開拓がさらに進んでは、大量に依頼がきてしまった板
大通りから離れた工房通りもまた、そういった荷車が行ったり来たりしている。
まぁ、あの時は自分が楽してやるために、工房の組合に技術を回してその後は各工房にお任せ、としてやった。
そうしたら、本場ドワーフの国からやってきた工房を持ってるオヤッさん'sなんか、"師匠!さらに教えてください!!"と、なんか変な目で訴えられたが、その技術を教えてやったら、こういう使い方があるのか!と驚いていた。
というか、
アイツら、寝るって事しらんのか?と。
四徹あたりまえ、さらに八日間もずっといろいろとやってやがんの。
それも遊びで玩具的に作った、六mm程度の真球の弾を数m飛ばすだけの
まぁ、この筒を作る技術というのは、こちらは魔法でうまくやってるが、真円のほかに表面の面粗さ状況も必須だから一朝一夕でできる代物でもない。
ここらは、自分が長年培ってきた知識と経験が生きてくるのだが……あいつら、全部粉々にバラシて解析し始めたら、数日後にはコピー製品を完成させやがった。
しかも改良された超強力な
本国ドワーフおっさん'sの底力、おそるべし……
つーか、弾をセットするためにドワーフの膂力を使った力任せな方法なのは、扱う人が限定されてしまう奴やろ、それ……
「それで師匠、次は何を作られるんで?」
「……今は思いつかんから何もやらん」
「それは残念です」
「では、ワシのこの作品をみてくだされ、今回は威力を落としつつも装填をしやすくしてみました」
「ほほう、先込めをやめて、後ろ込めにしたのか、やるのぉ」
確かに、
しかも、君たちの筋力に物を言わせて装填なんだが?
「わしは、一発ではなく、複数発とばすようにしたぞ」
散弾ですか……けど、一列に並ばせて飛ばすだけという、いたってシンプルな方法となっているために、最後の弾は飛ぶというか落ちるという表現が正しいような……
「そんな落ちちまう物より既存の改良品でよかろうが、ワシは弓の威力を上げてみましたぞ」
だから、そういうバネと木材とで複合化された長弓も、それを
そうこうしてたら、いつからかやんややんやと次から次へと見せられる品評会的な集まりになっていた。
酒蔵からせしめた混ざり物酒樽も、四樽あったはずが最後の樽を残すのみとなっていた。
「それでは師匠!この中での最優秀のモノをお選びください」
「ワシのだな!」
「ふん、そんな弾つくるのも面倒なものよりワシのだろ?いままでのを改造してやったんだしな」
「いやいや、ワシのこの
だから、何でこっちがそういう事しなきゃならんのだと。
禿てたりイカつかったり、いい年した爺さんみたいなのが、やんややんやと、まるで褒められたい子供みたいな集まりになっとる。
しかも、何かいわないとダメなぐらいの圧がすんごい。
「……なら、こいつだな」
圧に負けそうであったが、その中で光る一品は見つけている。
その見つけていたのは荷台で、手押し車という奴である。
「えっ?こんなのが?」
「ワシのが一番でしょうに師匠!」
「いや、ワシのだ!!」
「……ええい、ウルサイ!お前らのは用途が限定されてるだろうが、それに比べたら、その荷台ははるかに有用範囲が広い」
そう、有用範囲が広いというのが重要なのである。
その荷車の一番の特徴というのは、弾として作ってた六mmの真球を"軸受け"として流用したこと。
つまり、いまこの時"玉軸受け"が完成したといっても過言ではないのである。
というか、大量に作った
「……という事で、この荷台を作った奴はどいつだ?」
「は、はい!僕です!!」
と、爺さんたちの中から現れたのは、これまた年若い……女の子?
「そんな、発明の神様に認められるなんて、僕が、僕が……」
「やったな!ロミー!師匠に認められたぞ!!」
「さすがロミー嬢だ」
「これで、ロミーも一人前だな!」
「オヤッさんの孫娘だけはあるな!」
「これは、祝わなくてはいかんな!!」
もみくちゃにされては、うれし涙を流しているロミー嬢。
まぁ、そんな表情をされては、こちらも選んだかいがあったというものである。
そうして、今度は祝いの酒盛りが始ま……って、ちょっとまてやお前ら!
おい、それ隠してた最後の
酒精の強いに香りがした?
なんで、見つからねぇようにしてやつを!
残しておきたかった奴ぅ!
ああぁぁぁぁぁぁ、湯水のごとくのんでんじゃねぇぇぇぇぇ
なお、この"玉軸受け"技術は業界に手続きをし、きっちりとその子の技術と……ならずに、自分にも手数料が振り込まれる形となっていた。
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