◆侵略軍団との戦い

「お前たちは何をしに来た!」


 数十から数百人の人々を率い、リーダーが言った。

謎の人々はみんな槍や弓を持ち、薄手の布の服だったが、少しも寒さを気にしていない。


「あの連中……寒そうでしょぼい格好してるくせに、強がってやがるな……」

「邪魔者は躊躇なく排除しましょう!」


 ガイとガスは謎の人々をあざ笑うと、それぞれ肩書きを名乗る。


「頭の回転最速、参謀のガス!」

「有能優秀上級幹部、その名もガイ!」


 ポーズを決めつつ、二人は同時に叫ぶ。


「我々の邪魔をする奴は、消えてもらう!」

「何だと……好き勝手にはさせん! 槍攻撃!」


 リーダーの指揮で、人々は一斉に槍を投げた。

もちろん侵略軍団の方も黙っているわけにはいかない。ガイの指揮で、無数の宇宙戦艦は一斉にビームを撃った。

氷の地表にビームの雨が降り注ぐ。

謎の人々は追い込まれて、攻撃ができなくなってしまう。


「生ぬるい奴らだ!」


 笑いにふけるガイたち。

 しかしすぐにガスが窓を指差した。


「ガイ様、下の方にあの潜水戦艦が見えます!」

「んだと、あの野郎……今度こそ絶対に打ちのめしてやる! 皆の者、一斉攻撃ー!」


 ガイは軍団を指揮して、二度目のビームの雨を降らせた。

もちろんシンの方も無抵抗なわけではなかった。


「こんな美しい景色を……この星を、めちゃくちゃになんかさせない!」


 シンは、宇宙船目掛けてミサイルを撃つ。だが、避けられて攻撃が外れてしまう。

一方、相手側は優勢だ。容赦なく三度目のビームの雨を降らせてくる。

それも、二人という少人数ではなく何百機もの大規模な軍団だ。それに対して、人間の少年一人だけでは敵いそうにもない。


「今回は一転して、順調に進みますね。このまま行けば我々の勝利ですな!」

「そうだな! 皆の者、手を緩めずに攻撃を続けろ!」


 それでもシンは勇気と希望を失うことなく、攻撃を続けた。


「僕だって……!

お前らみたいに、自分のために美しいものを傷つける奴らには、絶対負けない!」


 その時だった。

シンの希望に応えたのか、次の瞬間、謎の強い稲光が走った。


「わっ、光が!」

「みんな、気をつけろ!」


 その青白い光は、侵略軍団に打撃を与え、シンの潜水艦にもオーラを灯す。


「喰らえ! 最終兵器、ミサイル!」


 稲光を帯びたミサイルが、宇宙船目掛けて放たれる。


「ガ、ガイ様……!」

「ガス、危ない……!」


 ミサイルを受けた宇宙船は、爆発音を立てながら火花を散らした。


「ガイ様、宇宙船が故障しました! このままでは大変危険です! 今すぐ撤収しましょう!」

「よし! 皆の者、撤収ー!」


 ガイの指示とともに、侵略軍団はどこかへ瞬間移動し、消滅してしまった。

壊れた宇宙船から散る火花は、まるで星々のようにきらめき、闇へ消えていった。


 一方、シンの方も、とどめの反動で潜水艦から落とされ、生身のまま、遠くへ投げ飛ばされていく。

不思議な泡のバリアに守られながら、ゆっくり意識を失いながら。

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