第7話 資料⑤:論文『各地方における「土地神」信仰について』

 日本の、特に地方の山間部や交通の便が悪い閉鎖的な村落などにおいて「土地神」と呼ばれる存在が確認されることが多々ある。

 「土地神」あるいは「土着神」と呼ばれるその存在は、その土地、或いはその村落でのみ信仰される高次的存在である。ほとんどの場合、信仰されている土地かその土地に縁深い場所・物・構造物に宿ると考えられ、「土地の神」、「土地に着く神」という所以から上記のように呼ばれている。

 土地神と人々との関わりは深く、人々の信仰に応じて奇跡的な恩恵を齎し歓迎される神も居れば、逆に人々から恐れられる災いを齎す神も存在する。ただ一般的に現代まで伝わる神は前者であることがほとんどであり、後者は後世に伝えることも憚られて忘れ去られることが多い。

 上記の「恩恵」ないしは「災い」について、内容は多岐にわたる。例を挙げると恩恵は「豊作・豊漁・天候安定」、災いは「凶作・不漁・荒天・飢饉」などがある。両方とも自然的要素が関係することが多く、現在確認されている伝承のほとんどがこれに該当する。また商いや 子供 に関する説話も見られるが、そう多くはない。

 今回、本論文では東北地方の土地神伝承に準拠し、それを基に東北における土地神の何たるかを明らかにしていく・・・・・・・・。

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