23 捕食者(プレデター)
部室前のブルーシート上で、気まずいランデブーが繰り広げられていた頃。
シャモと
〔千〕「若旦那。はいあーん」
〔あ〕「だめですう。死にかけが移りますう。みのちゃん、はいあーん」
〔三〕「どうしてこうなった」
〔う〕「
三元とうち身
津島を昼食会に誘った
津島から連絡を受けてやって来た長津田は、
〔千〕「アタシは
〔あ〕「アタシは藤宮さおり。ちょっと変化球」
〔千〕「若旦那の運命の女は『藤巻しほり』だよ。あんたなんか、お門違いもいいとこだね」
千早はVネックから鶏がらのような胸骨の浮いた肌を見せつつ、あさぎちゃんにかみつく。一方のあさぎちゃんは、勝ち誇ったように『むぎゅー』ポーズを見せつけた。
〔葛〕「
〔菊〕「それじゃ
〔千〕「あんなしみったれた本妻はごめんだね。はいあーん」
〔シ〕「二人ともいい加減にしてよ」
シャモは身をよじって二人から離れると、男子用化粧室に逃げ去った。
〔三〕「俺もシャモもモテたいモテたいとは言ってはきたが、これはねえよ」
〔う〕「冗談にしたって、ちょっと度が過ぎらあ」
〔葛〕「そこの二人はまだ高校一年生だ。さすがに目の毒だよ」
うち身師匠と
〔千〕「まったくつまらない世の中になったね」
ふてくされた千早がたばこを取り出すも、喫煙ルームすら店にはない。
〔あ〕「おばあちゃま、若い男の子の事は若い私に任せて、そろそろ隠居なさったらいかがかしら」
〔千〕「あんただって、若旦那から見りゃ良いババアだよ」
千早は捨て台詞を吐くと、ショッキングピンクの化粧ポーチを持って女子用化粧室へと向かった。
※※※
〔シ〕「あの死にかけとあさぎちゃんの相手はうんざりだ。かくまってくれ」
二人の
〔仏〕「だったら頼みがある。うちの父親が保健室前のベンチにいるはずだから、それを渡して」
それだけ言うと、仏像は買い物袋をシャモに押し付ける。
〔シ〕「あの前を通って来たけど、いなかったぞ」
シャモは首をひねりながら仏像と共に保健室前のベンチにたどり着くも。
〔仏〕「四人ともいねえし。何だよ気を使って損したわ」
バカバカしいとため息をついた仏像は、シャモを連れて部室に戻った。
〔仏〕「うちの父親もあの三人もいなかったんですけど」
〔服〕「
ブルーシートに座る坂崎に向かって仏像が口をとがらせると、
〔仏〕「どういう事だよ?! まさかと思うけど、また『しこしこ』化したんじゃないだろうな」
仏像がおそるおそる自分のスマホを開くと――。
〔仏父〕「今日は楽しかったお。れんちゃんに英会話を教える係になったお。今から
〔仏〕「しこしこ化してた……。
〔坂〕「若さより経験が勝ちましたか」
〔松〕「あそこでダッシュを決めなかった仏像さんの負け」
〔坂〕「王子様ならぬ
坂崎と松尾はにやにやしながら首を
〔仏〕「いやおかしいだろ。そもそも俺はファンには絶対手を出さない主義。勝ち負けじゃない。それに、れんさんとうちの父親に何歳年の差があると」
〔多〕「ショックを受けた時に優しくされるとさ、女の子ってのは」
〔仏〕「いやあああっ。止めて。そこまで俺の父親は
仏像はそれきり頭を抱えてうずくまった。
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
※『
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