24 宴の後
グリークラブの発表を両親と見る松尾と別れると、仏像たちはプロレス同好会の引退セレモニー(午後の部)を見ることにした。
司会を務めるのはもちろん放送部の
〔青〕「赤コーナー
〔客〕「ふおおおおおおお!」
赤と青のガウンを
〔青〕「赤コーナー
そのまま再度
〔仏〕「あの一年生、何がやりたかったんだ」
仏像が引き笑いで次期プロレス同好会を引っ張る(予定)大島に目をくれているうちに、勝敗が決まりつつあった。
再度逆エビ固めを掛けられた
〔青〕「三、二、一。ついに、ついに決着の時。赤コーナー
午前回に勝者となった
まさにプロレス同好会らしいブックとアングルである。
〔長〕「俺たちの魂を預ける」
〔天〕「新生プロレス同好会で世界を平らげろ」
〔服〕「俺たちはプロレス同好会での経験を
プロレス同好会の花形三名は、花束を手にしつつマイクを握っている。
〔客〕「ふおおおおおおっ!
最前列に陣取る男たちは泣き叫んでタオルを振り回している。
まさに教祖級のカリスマだ。
〔仏〕「あんなに人気があるのに、本当に退部して良いのかよ」
〔三〕「人気絶頂の時にマイクを置くから伝説になるんだよ。
〔仏〕「モモエちゃんって誰だよ」
老人達の相手から解放された
〔加〕「
〔天〕「俺も大好きだああああっ」
〔客〕「
〔天〕「やーめーろーよー! 俺は加奈一筋だああああ!」
加奈がシーサーのような顔をぐちゃぐちゃにしながら叫ぶと、テンションの上がった
〔餌〕「黒歴史誕生の瞬間」
〔シ〕「案外、結婚式で延々とこのシーンを見せられる気がしないでもない」
〔森〕「こんな青春を送ってみたかったよ。本当にね」
〔餌〕「そんな。いちご様の青春時代はスクールカースト最上位とばかり」
〔森〕「それだったらこんな仕事してないよ。黒歴史も良いところだよ。あたしデブス陰キャで詰んでたし」
〔餌〕「まさか。だって、今となっては百倍近い価格で取引されるデビュー時の写真集も、それはそれは神々しいともっぱらの噂」
〔森〕「そりゃ三百万円以上を掛けて、社長の言う通りに『大工事』をした後だし。それでデブスのままだったら、今頃あたしこの世にいないよ」
〔餌〕「いちご様にそのような歴史があったとは……。それでも僕は、この
〔森〕「本当のあたしは、息子そっくりのへちゃむくれ顔だよ。パンダ君は若いんだ。あたしみたいなオバサンからは卒業して、年相応の子に行きな。『あたしの宴』はそろそろお開きだからさ」
森崎いちごは下の息子を抱き寄せながら、さみしそうに笑った。
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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