5 大船だよ☆全員集合
部活を引退したはずの
〔餌〕「あああっ。
〔三〕「この間の検査の数字でほめられたから、自分へのごほうび♡」
どこぞの女子的な思考回路の
〔シ〕「今から俺たちはこき使われるんだぞ。どこでその駅弁を食うんだよ」
〔三〕「松田君の楽屋で。一個は松田君への差し入れだし」
〔シ〕「へっ? どう言う事」
シャモの言に、
【出演予定者急病のため代演によるリサイタルとなります。代演
〔餌〕「三元さん、そう言う事は先に教えてくださいよ。分かっていればページヤのエコバッグを松田君ファンの皆様に売りつけたのに」
GW合宿後に
〔シ〕「でも松田君って、ここの所あのエコバッグを持ってきてないよね」
〔餌〕「そうか。松田君にスペアとして全部買い取らせるか」
〔三〕「松田君の野獣ぶりをあのマダムに伝えたくて震えるわ」
〔シ〕「奥さん、そいつはただの野獣眼鏡です」
〔餌〕「仏像は
〔仏〕「知るかよ。それに俺らはそう言うアレじゃねえ。何度言ったら分かるんだ」
にやつきながらたずねた餌にn度目の釘を刺すと、仏像はバイト場所に向かってさっさと歩き始めた。
※※※
〔葛〕「みんな、暑い中をありがとうね」
一同が会場に着くと、小ホールで
〔葛〕「あの子も若いのに急な代役を引き受けて大したもんだ。はいこれがあの子のチケット。皆で聴いておやり。こっちのお
〔葛〕「今日の手伝いったって大したもんじゃないから、あの子のコンサートが終わってから楽屋に顔をだしてくれりゃいい。あたしゃちょいと野暮用で出かけてくるからさ」
言うなり、ステッキ片手に
※※※
〔仏〕「大勢で本番前の
〔三〕「だって外で駅弁食べたくねえし」
〔仏〕「俺らにとったら松尾は落研の後輩だけど、大ホールで代演を任されるクラスの天才ピアニストなの。世界一だよ世界一」
〔三〕「天才だって腹は減るだろ」
言い訳めいた仕草で駅弁の袋を指した
〔下〕「お疲れ様っす。あれ皆さんは小ホールのバイトじゃないんっすか」
〔長〕「あ、どうも」
〔仏〕「部室かよ。何で本番前の楽屋にこんなに人がいるんだ。で、松尾は」
〔飛〕「開場前にホールの最終チェックに行きましたよ」
〔三〕「松田君に好きなのを選んでもらおうと思ったけど、いないんじゃ仕方ねえ。全部食うか」
〔生〕「おじゃましまーす。ほら姉ちゃん、ピアノの王子様の現物だよってあれ別人?!」
〔坂〕「松田君、うちの部員も来たから席がかなり埋まるよ。あれいない」
〔餌〕「松田君はホールで最終チェック中だそうです」
〔仏〕「これ何なの、ここ教室?!」
飛島が再びピアノに向かう中、
〔嫁〕「
一直線に仏像めがけてやって来た
〔三〕「米国式のあいさつって大変だな」
〔多〕「慣れだよ慣れ。俺なんてアレ毎日やってんだぞ」
〔三〕「俺にアメリカ人の嫁さんは無理だわ」
〔シ〕「その前に彼女いない歴十八年の脱出法を考えようぜ。兄弟」
ベトナム系米国人の多良橋夫人に戦々恐々の二人であったが、米国育ちの仏像以外には日本式であいさつをしてくれる優しい女性である。
〔松〕「うわっ、何か人が増えてる」
チェックを終えて楽屋に戻って来た松尾は、ドアを開けるなり大きくのけぞった。
〔三〕「蝉丸師匠がチケットをくれた」
ひらひらとチケットを見せると、お礼をしなくちゃと言いつつ松尾は肩をすぼめる。
〔下〕「うさぎ軍団さんに声を掛けたら、ピンクうさぎさんが元々チケットを取ってたから来るんだって」
〔坂〕「うちの部員も結構来たよ。席がかなり埋まると思う」
〔松〕「ありがとうございます。代演を受けてはみたものの、余りに急すぎて席が埋まらなくて」
松尾は情けなさそうに頭を下げた。
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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