第22話 特別報酬とパーテイ結成のすすめ。

 

「ま、かけてくれ」




 そこはローランドさん、つまり冒険者組合の支部長の部屋であった。

 中は割と広いけど、絵画とか花瓶などの装飾は一切なくて無骨な印象を与える。

 さすがは冒険者組合って言ったところか。




 僕は勧められるままにソファに腰掛けた。

 横にはエリーゼさんが座る。

 そして正面にはローランドさんとマリーさんが腰掛けた。




「ここに来てもらったのは他でもない。マキラの特別報奨の話だ」




「僕の特別報酬? ……ですか?」




「ああ。全体の指揮を任せたライナスから報告があってな。お前さんがワイバーンのすべてを地面に落としたらしいじゃないか」




「スゴイわね。マキラさん」




 不敵な笑みを浮かべるローランドさんと目をキラキラさせて見てくるマリーさん。




「そういう腕の立つ魔法使いは歓迎だ。特別報奨として金貨3枚を追加で出そう」




 そう言ってローランドさんは懐から金貨が入った袋を出して僕の前に置いた。




「もらっちゃっていいんですか?」




「無論だ」




 僕はなんとなく居心地が悪い気分になってしまった。

 そして真横にいるエリーゼさんを見る。

 するとエリーゼさんはにっこりと笑みを見せてくれた。




「マキラ君。せっかくなんだからもらっておきなさいよ。あなたの魔法と働きが評価されたのよ」




 こうまで言われると、どうとでもなれと思って僕は袋を受け取った。




「そこでだ。マキラに話がある」




 なんだろう?

 このお金をもらったことで面倒事でも押し付けられるんじゃなんだろうな?

 一気に不安になる。




「お前はソロだろう? パーティを組む予定はないのか?」




 どうやら面倒な話ではなさそうだ。

 僕がソロなのでパーティを組ませたいんだろうかね。




「そうしたいとは思うんですけど、Eランクの僕と組んでくれる人がいるのかが問題です。あと、僕には目的もあるのでそのことを考えるとパーティは組めないのかなとも考えてしまっている状態なんです」




「ふむ。私としてはここにエリーゼを呼んだのが回答なんだがな」




「エリーゼさんですか?」




「突発的に協力体制となってオーク5匹を討伐しただろう? マリーに話を聞いたのだが、お前たちの組み合わせは相性が良さそうな気がしたんでな」




「私とマキラ君ですか? ……確かにマキラ君の魔法と私の攻撃スタイルは相性はいいですが……」




 ふむ。僕の転倒魔法で不足するのはトドメを刺せる相棒だ。

 軽装の獣人で動きが素早くて、気配察知なども優れる斥候職のエリーゼさんは確かに相性抜群だね。




「嫌なのか? エリーゼもマキラも上のランクを目指すにはソロのままでは厳しいのはわかるだろう。だからこうして勧めているんだがな」




「私は嫌ではありません。……ですがマキラ君がどう思うかが……」




「僕なら歓迎ですよ」




 獣耳美少女でモフモフ。それだけでも十分に価値がありますよ。

 スタイル抜群で性格もいいしね。頼りになるお姉さんタイプだし。




「そう。なら二人で組むのもいいわね」




 僕とエリーゼさんは互いの顔を見て頷く。




「なら決定だな。君たちがランクを上げてくれて依頼をどんどん達成してくれれば冒険者組合としても万々歳だ」




 そう言ってローランドさんは頷くのであった。




「だがマキラには目的があるとのことだったな。どんな目的なんだ?」




「はい。……師匠を探すことです」




 僕は去ってしまった師匠を探すことがこの街に来た目的だと話した。




「師匠? 魔法使いか」




「名前はアルさんと言うそうです」




 ローランドさんの問いにマリーさんが補足してくれる。

 するとローランドさんの眉毛がピクリと上がった。




「……アル。大魔女のアルか?」




「大魔女? 大魔女がどうかは知りませんがアルと言う魔法使いです」




 大魔女? どういうことだ?




「……アルは昔の知り合いだ。私がまだ若かった頃にパーティを組んだこともある凄腕の魔女だ。使えぬ魔法はないと言われていたし、実際になんども各属性の魔法を使うのを見た」




「ええっ!?」




 驚いた。

 師匠が大魔女と呼ばれている凄腕だったとは知らなかった。

 でもそれ以上に驚いたのがローランドさんが若い頃にパーティを組んだと言う事実だ。

 師匠は見た目二十代半ばくらいなのだ。昔というからには何十年か前の話なんじゃないか?

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