第2話

「うぅ魔王様………」


 さめざめと、悲嘆に暮れるピールモレス。


「あー残念だったわね

でも なんで死んじゃったの?」


 あまり、興味ないけど未知のウイルスとか言われたらコワいからね。


「魔力を 吸い取る手枷足枷を付けられそれが主な原因でしょう」


 魔王の、手首を指差して説明するピールモレス。


「えっ? なんでそんなものを

プレイ ??」


 なんか、変態っぽいよね。


「なんと

魔王様は この部屋に………」


 ピタリと、体を硬直させるピールモレス。

 部屋の、外からカギの音や鉄のこすれるような音が響く。


「どうしたのよ ??」


 外の、音におびえるようなピールモレスの反応に興味がわくわ。


「シッ

静かに」


 あたしの、くちばしを押さえるピールモレス。


「だからなによ !!」


 手羽先で、払いのけるあたし。


「食事の時間だ」


 小声で、ゴニョゴニョと説明するピールモレス。


「えっ ??」


 そう聞いたら、急にお腹が減ってきたわ。


「オレは 隣の独房に戻らないといけない

お前は 魔王様の亡骸の後ろに隠れろ !!」


 かなり、あせっているピールモレス。


「わけわかんない」


 あんまり、早口で言わないでよ。


「1回くらい言うことを聞け」


 なんだか、ピールモレスの目がコワいんだけど。


「えー

仕方ないなぁ」


 しぶしぶ、言うことを聞くあたし。


「合図があるまで隠れてろよ

イイな」


 念押しを、するピールモレス。


「はーい」


 壁際に、横倒しになっている魔王を手羽先で押してなんとか隠れる。


「それじゃあ」


 そう言うと、ピールモレスは横の石積みの壁のスキマに頭を入れスルスルッと出ていく。


「なんだ

あんなところに穴が開いてる」


 おそらく、あのピールモレスが開けたのだろう。


ガラッ


 鉄の、ドアの下が少し開いて1枚のお皿が入れられる。


「おい 魔王

食事だ」


ガラッ


 数秒の、出来事で悟った。


「なるほど

広い部屋だけど 牢屋の中なのねココ」


 鉄製ドアの、下の地面に置かれた皿の上にはネズミの死骸が3匹あってこれが食事みたいね。


「うげっ

キモチわるっ」


 もどしそうなあたし。


「コラッ」


 不意に、後ろから声がする。


ビクッ


「えっなに ??」


 そこには、クチをモゴモゴと動かすピールモレスの姿。


「隠れてろって言っただろ」


 なぜか、少々機嫌の悪いピールモレス。


「もちろん 隠れてたわよ」


 腕組みしようと、もがくあたし。


「それ喰うのか?」


 ネズミを、指差すピールモレス。


「イヤだ

食べないわよこんなの」


 こんなの食べたら、絶対にお腹下すわ。


「なら よこせ」


 どうやら、欲しかったみたい。

 それで、ワナワナしてたのね。


「はい」


 皿を、拾って手渡すと、


「むしゃむしゃ」


 奪うように、皿を取りネズミを食べるピールモレス。


「ゾゾゾッ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る