第36話~ある冒険者現役引退の日~

掃除屋隊は四頭立ての白幌中型ワゴンタイプ馬車でやって来た

到着すると荷台から十人の男達が降りて来てリーダーと思われる男が私達の前に来た

「掃除屋のガオです重症者が居るみたいですので死体と建設物の処理が終わりましたら王都までお送りしますので少々お待ちください」

”死体は野営地の中央に積み上げて”

「どうしてですか?」

”ジルの容態が気になるので一刻も早く王都に帰りたい報告に必要な検分だけしてくれれば鬼火で全て消す”

「この野営地全てが可能なんですか!?」

ララがフォローしてくれる

「大丈夫だ彩美なら可能だ」

「わかりました私達も燃やして埋める手間が減るのであれば御指示に従います」


掃除屋は盗賊団や大型モンスター討伐で依頼を終えた事を冒険者ギルドに戻り証明しにくい場合に現れる

盗賊団の場合は多くの死体を放置して置くことでの問題もあり残置した略奪品等を残しておくと別の盗賊団が活動資金にする可能性もあるので回収して略奪された元場所がわかれば返却し不明の場合は売却をして冒険者ギルドの資金になる

野営地等も他の盗賊団に再利用されると問題なので完全に破壊をする

盗賊団掃除は死体数や頭目の死を確認して依頼の達成を確認して冒険者ギルドに報告する役割もある

対象が討伐証拠を持ち帰る事が難しい大型モンスターの場合は死体検分で依頼達成確認し必要に応じて解体をして資源として売却をし冒険者ギルドの活動資金にする冒険者ギルドが準備した別動隊だね


ジルは回復ポーションを飲んで少しは落ち着いたけどジルの持っていたポーションでは腕の切断による大量の出血と切断された神経の迷走で消耗した体力を回復しきれなかったよ

七海も私もポーションは不要なので持ってきてないし監視者とか掃除屋は冒険者と公平に接する為に役割以外のアイテムの提供とか禁止されてるしね

「ごめんね私が回復魔法を覚えてれば腕を戻すのは無理でも体調は完璧に回復出来たのに」

”仕方ないよミカエルの講習前だし気にしないで”

「うん」

”闇魔法でも回復魔法でもう少し強力なのあるんだけど私もルシファーに教わるの後回しにしてたしね”

ララがやって来た

「監視者の仕事は終わったので一足先に王都へ帰らさせて頂きます」

”お疲れ様でした”

ララとシンは少し離れた場所に繋いでいた馬に乗り王都に帰っていったよ


掃除屋の仕事は早かったよ

三百体近い遺体を頭目の小屋前に二時間もかからず集め倉庫や小屋にある略奪品を荷馬車に積み込み終えたよ

ここで凄いのが盗賊や家族が身に着けているアクセサリー等も近隣で略奪され申告があった盗品リストと突き合わせての回収も終えてる

リストにないアクセサリー等を奪う事は追剥で死者への冒涜になるのでしないよ


私は野営地が見渡せる丘の上に移動する

七海とジルに掃除屋は丘より後ろに移動して待機

半リーグ四方を消す鬼火となると私でも少し集中が必要だよ

右手の平を上に向け天に伸ばし魔力を集中する

手の平に黒と紫に青を混ぜたような色の炎が天まで届く勢いで吹きあがる

意識を炎から球にイメージを変えると炎の柱は頭上のかなり高い位置で直径数十メーターの球になる

球の中では黒と紫に青を混ぜたような色の炎が渦巻いてる


ここで七海が魔防壁を出しジルと掃除屋を万が一に備えて保護する

七海の魔防壁を確認したので

”鬼火”

特大サイズの鬼火が頭目の小屋にぶつかり破裂する

鬼火は野営地全体に広がり闇の炎で焼き尽くし全てを消し去って行く

数分で鬼火は全て消えかつて野営地だった場所は更地になった

丘を降り皆んなの元に戻ると

ガオが呆れて

「なんというか手間は省けありがたいですが凄まじいですね」


ちなみに地面は消えないのか!ってツッコミがあると思いますが

鬼火を使う時は地面に魔法結界を展開してるから地面とかテラスとかが鬼火に触れても無散することはないよ

まあ地表に関しては仮に触れても大地の持つ力が凄すぎて表面が少し削れる程度だけどね


掃除屋は対象依頼を完了した冒険者が望めば王都への送りをしてくれる掃除屋隊が馬車で行ける依頼地限定だけどね

予定では徒歩で王宮に帰り途中でモンスターを手に入れたら料理とか考えていたけど一刻も早く魔法医師にジルを診せたいので馬車送りでね

私達は掃除屋隊の馬車に揺られ王都を目指す

ジルは七海の膝枕で顔は少し青いけど静かな寝息を立ててるので何とか大丈夫そうだよね

全てを終え盗賊野営地跡を出発したのが午前四時

馬車であれば十時過ぎには王都に帰り着けそうだよジルもう少しだけ頑張ってね


王都が見えてきたけど途中で別の街道に入る

貴賓客の馬車以外は南門の通行は出来ないので西門に向かってるね

西門は黒泉館の逆側のメインストリートの突き当りになるよ

”すいません魔法医師の前で降ろしてもらえますか”

門から二ブロックで馬車が止まる

「この右側の建物が魔法医師だよ」

”ありがとうございますジルの治療が終わりましたらギルドに行きますので”

「ミナイに伝えておく!」


七海の肩に残って左腕を回して支えら魔法医師の建物内へ

受付に白衣を着た初老の女性がいる

”すいません腕の切断で大量出血をしてポーションでは無理でしたのでお願いをいたします”

「切断された腕はお持ちでないのですか?」

普通は切断された腕を回収して持ってくれば繋げてくれるからの質問だね

”無散してしまったので”

「分かりました」

受付女がカウンターの横にある扉を開け診察室へ招き入れてくれた

ジルを備え付けのベッドに寝かす

限界だったのかジルはベッドに寝た瞬間に気絶したね

白衣を着た金髪で十歳位の少年が現れる

覚醒が早く出て少年の姿を留めてるよ

白衣の右胸に固定された金色で十字架の意匠が施されたコインは王宮公認魔法医師の証だね

「魔法医師のノエルです患者さんはベッドの方ですね」

”はい命を助ける為に剣で切断をいたしました”

包帯を解き傷口を確認するノエル


「止血は闇魔法ですね」

”わかるんですか?”

「皮膚の再生がされてない止血は闇属性初級回復魔法の特徴ですので」

ここまでは設定考えてなかったので未知の世界だよ

”私が施しました”

「闇魔法で止血した状態では皮膚の再生が出来ないので術を解除してください」

”それじゃ血が噴き出して!”

「解除と同時に私が治癒を発動するので大丈夫です」


そう私が今使える治癒は本当の治癒でなく魔力で傷口を封じて出血を止める程度しか出来ないんだよね

治癒魔法は七海が使った方が効果が格段に違うから将来に七海が覚えるからいいやで最低限しか練習してなかったんだ

”では傷口の魔力を開放します”

右手の平を傷口に向け術を解除する

ノエルも傷口に向け右手の平を傷口に向けている

解除と同時に傷口が金色に輝く

金色の光が消えると切断面が皮膚で覆われた綺麗な状態になっている


なにせ無敵チート主人公な物語だったので回復系魔法が出る場面は少なく設定が適当だったので驚くことばかりだよ

次にジルの胸に手をあてるノエル

「体力活性化」

胸にあてた手が金色に輝く

十秒位経過したかな手の輝きが無くなり手を離す

「うっ」

目を開けジルがゆっくりと起き上がる

「傷口の痛みも完全に無くなったよ」

顔色も回復して立ち上がるジルだけど右腕が無いのでバランスを取るのに苦労してるね

「先生ありがとうございます」

ジルが感謝を伝えると

「これが仕事ですから体力は最低限しか回復出来てませんので食事をして栄養をとってくださいね」


受付に行き支払いをする

「傷口回復と体力回復で1万Gになります」

安いのか高いのかわからないけど1万Gでジルが無事復活なら安いものだよね

支払いを済まし外で待つ二人に合流する

「やっぱし私が支払うよ」

”無理やり押し付けた依頼で腕まで失って・・・こんなことで・・・”

「それは気にしないで彩美が斬れば一瞬だったのを私の願いで無茶をさせてもらったんだから」


ジルも動けるようになったので冒険者ギルドまで歩くよ

ジルは少し歩いたらバランスの取り方を感覚で掴んだのか普通に歩けるようになったね

冒険者ギルドに到着し中に入るとミナイがカウンターから飛び出てきたよ

「依頼達成と全員飛び階級凄いです・・・が・・・ジルさん右腕が」

「右腕以上の価値があった依頼だったよ」

ジルの胸元に光るルビーのネックレスを見付けたミナイ

「アヤちゃの敵を討てたんですか!!」

「やっとね」


ミナイが受付カウンターに戻り依頼完了の手続きに入る

まずは依頼の報酬

報酬は気にしていなかったので聞くの忘れてたよ何なんだろう

「百万G相当のダイヤが四個です」

かなり大きいダイヤがカウンターに出される

四千万円相当か村一つ略奪から救え被害が出た時の王宮に対する人心低下なんかも考えたら相応なんだろうね

二個をジルの前に置き七海と一個ずつ受け取る

「まて私が二個はおかしいだろ」

「ジルは金で私達は銀だからこれでいいの」

七海が反論出来ない冒険者間で暗黙の分配法則で正論を通す

「ではありがたく頂くよ」

押し問答しても私達が受け取らないとジルも悟り素直に従ってくれたよ

右腕一本は百万Gでも足りないと思うけど

「ジルさん報酬受け取りのサインをお願いします」

慣れない左手でのサインに苦労してるジルだよ


次に階級の話になる

「今回は色々あったのは聞いておりますが監視者からジルさんは元でも黒曜石級を討伐したので黒曜石級に飛び階級となりました」

メダルをジルがカウンターに出す

ジルのギルド申込書がカウンターに準備され黒曜石のメダルが上に置かれる

黒曜石のメダルが一瞬光ると横にあった金のメダルが無散して消える

登録の完了した黒曜石メダルをミナイがジルに渡す

甲冑の胸に固定するジル


「次は彩美さんと七海さんですが今回の依頼は白金級昇格試験でしたので飛び階級で白金級になりました」

七海と私がメダルをカウンターに置く

二人の申込書がカウンターに出され白金メダルの登録が行われる

「こちらが彩美さんですね」

文字が読めないから気を使ってくれたよ

渡されたメダルを帯に固定したよ


「これで今回の依頼に関する事は完了となります御疲れ様でした」

「色々ありがとうミナイ」

「偶然であれ敵を討てたのは本当によかったですね」

「いつも遊んでくれていたミナイへ一番に報告出来てよかったよ」

そうかアヤが生きていたらミナイ位の歳だね二人は幼馴染だったんだね

「皆なさんギルド初の飛び階級を三人同時とは本当におめでとうございます」

なんか室内が騒がしいよ

「飛び階級だって!?」

「おい!あの二人って数日前に登録したばっかなのに白金になってねーか」

「何があったんだ?」

私達が部屋を出るとミナイに顛末を聞きに冒険者が群がりはじめたよ


依頼を無事に終えたあとはギルド酒場で一杯がジルの定番とで行くことに

王都に戻ってから治療とか手続きで気が付けが十二時過ぎで時間的にはランチを兼ねた打ち上げってでなく完全に飲み会モードだね

あっ最初は設定のオープンカフェってしてたけど実体は酒場だったんでギルド酒場ってこれからは呼ぶよ出番少なく設定適当で中身が完全に変わってたよ

席に着くと遮音結界を張るよ

他の席でも遮音結界とか魔装具で遮音出来るのを使っているテーブルは複数あるよ

やっぱし依頼の話とかだと他のパーティーに聞かれたくない内容は多いもんね

店員も慣れてるので音が聞こえる位置まで近づいて注文を取りにくるよ

ジルの説明だと居酒屋的に使う時はテーブルにある小さい皿にお金を入れて置くと勝手に清算して行ってくれるシステムだって

三人で一枚ずつ金貨=千Gを入れたよ

メニューは読めないので料理はジルまかせだね

まずはビールが届いて

「「かんぱーい」」

三人とも一息で飲み干してしまったよ

追加のビールはすぐに届くよ

今度は少しゆっくり飲もうね

料理が出てくるまで少し隠しごとについて話さないとね


「ジル色々と話さず今までゴメン」

七海が話を切り出してくれたよ

「なんか色々ありそうだね」

”私達はガイアから来たの”

「ガイアって伝説でダブネスが龍に負けて逃げ込んだ先だっけ」

「そうダブネスの話は庶民には伝説ということにされてるけど本当に起きた出来事」

”真実は各国王宮とギルド上層部だけが知っている”

「じゃあなんで伝説なんて嘘を」

”ダブネスが真実でいつの日か帰って来ると知って安寧に日々を過ごせるか”

「伝説を親から聞いた夜は寝れなかった・・・恐怖に襲われ続けた夜だったよ」

「伝承は続き人々は恐怖で生きる気力を無くしはじめた」

”権力者達は事を憂いダブネスは伝説であると長き刻をかけ人々に信じさせた”

「ダブネスは伝説となり人々は生きる気力を取り戻した」


「ダブネスが真実として二人がガイアから来てチンプンカンプンだよ」

て~か気配がするんですがマジで

七海も気配に気が付いたのか視線を合わせ頷いてきたよ

「失礼相席よろしいかな」

もうさあ声だけ聞けばだよクリスタルを溶かしたような声だよ

服は黒の長袖ロングワンピースに白蛇皮製コルセット

その上に紫で少し透け感のあるロングケープマントを纏いケープのフードを深々と被り顔を隠してるよ

”どうぞー”

棒読み感満載で答えるよ

「では」

とジルの横に座る

「私もビールで」

「はーい!」

七海が店員を呼んで注文する


何が何だかわからずポカーンとしてるジル

ビールが届いて

「「かんぱーい」」

”でぇルシファーどうしてここに?”

「えっルシファー様!?」

ケープのフードを少しずらして顔をジルに見せるルシファー

「色々話したいがソノ前にお替わり!」

もうこの面子だとお代わりが面倒なのでピッチャーを人数分にしたよ

届いたピッチャーをゴクゴクと飲むジル以外の三人

「さて喉も潤せたので次は腹を満たしたいな」

マイペースすぎるよルシファー

横で魂が半分出てるようなジルになってるよ


タイミングよくジルの頼んだ料理が届く

山盛り唐揚げに鰤サイズの焼き魚と顔サイズの極厚ステーキ

私リクエストの白岩貝の酒蒸しが山盛りね

「おお美味そうだ!」

ルシファーと七海が凄い勢いで食べだす

ってぇ王妃様あ!七海と同じ勢いってお淑やかさはどこに吹き飛びましたあ

”話は長くなるから腹ごしらえしようジル”


ジルは左手一本で少し食べるのに苦労してるけどこれは慣れないといけない事なので手伝う事はしないよ

魚はサイズが大きいので大味かと思ったけど脂が乗って身も適度な弾力で美味しいよ

唐揚げは鶏かと思ったけどカエルかもしれないね食感がね美味しいからいいけどね

ステーキは厚さから顎が疲れる系かと思ったけど柔らかくて焼き具合もミディアムで塩胡椒だけで十分だね

白岩牡蠣はプリプリで十個近く食べちゃった

ってああ満腹

気が付くとジルも何か振きったのか大食い組に同化して凄い勢いで食べてるよ

私は店員を呼んでピッチャー全員分の御代りと隣のテーブルで食べてるのを見かけたチーズと漬物の盛り合わせを追加注文したよ


あっという間に全ての皿が空になったよ

タイミングよく御代わりのビールと盛り合わせが届いたよ

「腹も満たされたし話をするとするか」

まったく大食いチャンピオンなルシファーとかキャラ設定がドンドン塗り替えられて行って面白いけど王妃の威厳があだよ

「ジル殿まずは彩美と七海を手伝って頂き感謝する」

「手伝うなんて二人には私の方が助けらました」

「だが右腕を失い」

「これは私が望んで偶然で出会った娘の敵を討つ為で二人と今回の依頼を頂きましたルシファー様に感謝してます」

「そうであればよかったのだが」

「あと殿は無しでお願いできますか何かムズ痒くて」


そこからルシファーはこの世界が私の書いた物語が現実化した話をした

最初は驚いていたジルだけどルシファーの口から語られたら信じる事しか出来なかったよ

ルシファーが来てくれたのはコレだったんだね

やっぱし一枚上手だよ私達が話して理解してもらう何分の一の時間で済んだよ

「ふ~なんか彩美が世界の創造主だったとか驚きを通り越してどうしたらいいのか」

”物語は私の手を離れ独自の道を歩いてるのだから今は同じ世界に生きる仲間だから今までのまま友達で居てほしい”

「はい!よろこんで」

「酒が無いんだが彩美」

「はいはい」

店員を呼びビールピッチャーを人数分頼むよ

私と七海もピッチャーの残りを飲み干す


チャリーン

小皿の残金を見てルシファーが金貨を一枚追加してくれたよ

「そんなルシファー様にお出し頂くなんて」

”ジルいいんだよ今のルシファーは王妃でなく女子会メンバーの一人なんだから”

「なんだか女子会って言うには会話内容が恐ろしのですが」

ジルを除いた三人が大爆笑

「じゃあ少し女子会ぽい話をしようかメネシスに始めて転移してきた時は男だった彩美の話とか」

”そこバラすかあ~ルシファー”

「はい!?彩美が男だった!?」

「見た目は今と同じで美人であったが体は男だったよ」

次の深刻な話をする前のリラックスタイムとしてはいい話題選びだけど何か恥ずかしいよ

漬物を食べビールで流し込み少し精神的に逃げる私だよ

「ガイアでは彩美と私は男女の夫婦だったんだよ」

抱き着いて来る七海

「愛する人が女性になって・・・その」

「だって私の願いで女体化しちゃったんだもん」

ルシファーが覚醒時の経緯を説明してくれたよ恥ずかしいなあ

「もし七海が居なかったら彩美は男のままで覚醒は失敗してた?」

そう覚醒は女しか成功しないって設定を私がしちゃってるんだよねスケベ心から

”その時は別の理由で女体化させていたと思うよ世界でも私が紡いだ部分の物語は変えれないから”


さらにビールの御代わりしながら会話は進むよ

次にルシファーが話してくれたのは私達の無敵チートの話だね

そしてなぜ冒険者を始めたかについてだよ

「二人は何か凄い物を背負ってたんだな」

”まあでも楽しいから苦とは思わないよ”

「彩美が進む道に私は何処までもついていくよ」

「おかわりぃ!」

ルシファー!シリアスモードをぶち壊しにきたよ


御代りを飲み干すとルシファーは先に王宮に戻るって

「ジル二人をこれからも頼む」

「はい」

「また一緒に飲める日を楽しみにしてるぞ」

席を立ち立ち去るルシファーを見送る

”ジルその片腕でも冒険者を続けるの”

「黒曜石級になると片腕で対応出来る依頼はほとんどないから」

ビールを一口飲むジル

「前々からさ新人指導とかをやてみないかってギルドから誘われていたからリハビリを終えたら指導役をやろうと思ってるよ」

「指導役かあジルに指導されたらすぐに一人前になれそうだね」

「あと宝石級になるとギルドから年金も出るから指導役の報酬と合わせれば生活に困ることもなさそうだから」

”よかったあ”

「二人のおかげで千人に一人なれるかって黒曜石級になれたので色々本当に感謝だよ」


七海が食べ足りないってことで〆のおススメをジルに聞いたよ

「そうだねえ炒飯でどうかな」

「炒飯あるんだ!じゃあ大盛いっちゃおう!」

七海は辛さ超抑えめで追加注文だけどジルもだよ

「傷の回復で食欲魔人になってる気がもあるけどメネシスだと彩美はかなり小食になるかな」

そうだったのか確かに食事の描写はどれも大盛が基本だったね

私はビールを追加して二人が食べるのを眺めることにするよ

しばらくして届いた炒飯はガイアで言う「炒めご飯」だね色々な具材を細かくして米と一緒に炒めて醤油とかの調味料で味付けされてるね


う~ん焦げた醤油と少し混ぜられた魚醤の香りがいいね

味が気になり七海に一口もらったら

”これは独特な味付けだけど美味しいメネシスの味付けも勉強したいなあ”

「じゃあ色々食べに行こうね!」

”ジルも一緒に行こうね”

「色々案内するよ!」

ジルのも危険を感じながらも気になったので一口もらったよ

結果は口内消火にビールピッチャーを二杯必要としました

ジルには大爆笑されちゃったよ


〆も食べ終わりそろそろ解散だね

時間は気が付けば十六時だね

ジルは娘の墓に敵を討った報告をしてから帰るって

「ギルドには毎日顔を出すつもりなんで何かあったらギルドに言付けしてね」

ジルの足取りが気持ち弾んでるように見えるのは娘の墓に報告に行けるのがうれしいんだね


七海が私に寄り添いメインストリートを黒泉館に向けて歩き出すよ

「なんか色々あったね」

”楽しかったね”

客入りが早い店だと既に店内は一杯で店前にテーブルを出して外で飲んでる客もいるね

「もう一軒飲んで行こうか」

”うん”

ってボルケーノとマナの台所以外は結構曖昧な感じでしか物語に書いていないので店選びは悩ましいね

時間はいっぱいあるから少し歩きながら店探しをしようね

七海と二人で寄り添って歩くだけで私は楽しく気持ちいいしね

夕暮れの街で少し歩きデートを楽しむよ

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