第13話


 父さん達と暮らしていたのは、男爵領として拝命している王国東部にあるギバルという街だ。

 ジェンの街はそこから東へ進んでいったところにある辺境の街である。


 治めているプジョル辺境伯はどうやら父さんと知己ということらしいので、いざという時はあのプレートが威力を発揮することになるだろう。

 そんなことにならないことを祈るばかりだ。


 日程は馬車を使って二週間ほど。

 その間に俺は、今の自分にできることとできないことを確認していくことにした。


 今の俺のステータスは、こんな感じだ。




マルト・フォン・リッカー


レベル19


火魔法 レベル10(MAX)

水魔法 レベル10(MAX)

風魔法 レベル10(MAX)

土魔法 レベル10(MAX)

光魔法 レベル10(MAX)

闇魔法 レベル10(MAX)

氷魔法 レベル10(MAX)

雷魔法 レベル10(MAX)

付与魔法 レベル10(MAX)

召喚魔法 レベル10(MAX)

精霊魔法 レベル5

時空魔法 レベル10(MAX)

物質魔法 レベル10(MAX)

呪術 レベル5

封印術 レベル6

魔力回復 レベル10(MAX)

魔力量増大 レベル10(MAX)

消費魔力減少 レベル10(MAX)

与ダメージ比例魔力回復 レベル10(MAX)

鑑定 レベル10(MAX)

剣術 レベル10(MAX)

短剣術 レベル8

双剣術 レベル6

槍術 レベル5

投擲術 レベル9

タフネス レベル10(MAX)

体力増大 レベル10(MAX)

肉体強化 レベル10(MAX)

与ダメージ比例体力回復 レベル10(MAX)

攻撃力増大 レベル10(MAX)

防御力増大 レベル10(MAX)

敏捷増大 レベル10(MAX)

精神力増大 レベル10(MAX)

魔法攻撃力増大 レベル10(MAX)

魔法防御力増大 レベル10(MAX)

物理耐性 レベル10(MAX)

魔法耐性 レベル10(MAX)

熱耐性 レベル6

寒さ耐性 レベル5

気絶耐性 レベル10(MAX)

睡眠耐性 レベル10(MAX)

麻痺耐性 レベル3

毒耐性 レベル4

呪い耐性 レベル5

隠蔽 レベル10(MAX)

偽装 レベル10(MAX)

隠密 レベル10(MAX)

魔力感知 レベル10(MAX)

生体感知 レベル10(MAX)

夜目 レベル10(MAX)

マジックバリア レベル2

物理障壁 レベル2

言語理解 レベル10(MAX)

祈祷 レベル1



 この九年間でできることは全部やった。

 そう言い切れるだけのステータスになっていると思う。


 取るスキルは全ての事情を知っていて、かつ先達として色々な経験を持っているフェリスのアドバイスを多いに参考にさせてもらった。


 その結果、色々と追加でスキルも取っている。


 もちろん、全部を鵜呑みにしたわけじゃない。

 一属性を極めた方がいいというフェリスのアドバイスを聞いた上で、魔法を追加で取ったりもしてるし(ちなみに新たに覚えた封印術や呪術といったスキルは、珍しいが一応持ってるやつも稀にいる、くらいのレア度らしい)。


 魔法以外にも各種耐性なんかもしっかりと取っており、とりあえず取れる耐性は全部取っておいた。


 物理耐性と魔法耐性のおかげで、魔法や攻撃を食らってもそのまま動くことができるようになった。


 精神力や体力を色んなスキルで上げまくっているおかげで、今の俺はそんじょそこらの攻撃ではひるまないくらいには仕上がっている。


 あと取って有用だなと思ったのは、魔力感知と生体感知だな。

 前者は魔力を感じ取ることのできる力、そして後者は生き物の生命エネルギーを感じ取ることのできる力だ。


 この二つのおかげで今の俺は不意打ちを警戒したりする必要もなくなった。

 純粋に索敵能力が上がりもしたな。


 恐らく今後冒険者稼業をやっていく上で必要になってくるだろう。


 各種体力系および気絶・睡眠耐性系のスキルを最大まで上げたおかげで、今の俺は気絶をしてから数分もすると意識を取り戻すことができるようになっている。


 そのため、俺の魔力は増大の一途を辿っている。

 どうやらある程度のところで頭打ちになるというようなこともなく、既に魔力ところてんを魔力の限り出し切るよりも俺の集中力が先に切れる方が早いというところまで来た。


 これ以上魔力を増やしてどうするのかと思わなくもないが、とりあえず夜に魔力を使い切るようにはしている。


 ただここまで魔力が増えると使い切るのもなかなか難しいため、各種スキルポットに魔力を充填しまくっている。

 魔法の訓練をしても余っちゃうけど、捨てるのはもったいないし。


 今のところ魔力消費として有用なのスキルもいくつか発見しているし。


 ちなみにその一番の筆頭は勇者スキルだ。

 こいつは獲得までに必要な魔力があり得ないほど多いため、俺の持っている魔力を全てぶち込んでもほとんどメーターが動かない。


 ただフェリスとの話し合いをした上で、俺はあまりヤバすぎるスキルはある程度強くなるまでは取らないようにしようと決めていた。


 なので俺のスキルポットには、充填寸前のところで止めてあるものが大量に存在している。

 スキルを取り過ぎるというのも考え物なのだ。

 見づらい……というだけではなくて、普通に色々とマズいことになりかねない。


 例えば俺は魔女や魔人、聖女や勇者といった普通では絶対に取れるはずのないスキルを、祝福の力で取ってしまうことができる(そう、なんと驚いたことにどうやら俺は聖女にもなれるらしいのだ……なる気はさらさらないけど)。


 死霊術や禁術などは持っているのがバレただけで国際指名手配犯になるくらいヤバい魔法らしいし、その他にも所持していること自体が犯罪とされるようなスキルも存在している。そして当然ながら、俺はその全ての獲得が可能だ。


 盗賊王や偽聖女、傾国や毒婦なんかがそれだな。


 更に言うと不老のような持っていることがバレたら最後、研究所送りになるようなスキルも多くある。種族変化のスキルなんかは明らかにヤバそうなので、


 スキルなんかあればあるだけいいと思っていたが、なかなかそうもいかないようだった。


 なので俺はもうちょっと王国の事情に精通してから、問題なさそうなスキルを取っていこうと思っている。


 スキルの一つ一つの能力は、即座に勝ち負けに直結するようなものではない。

 ある程度ゆっくり決めていくくらいの余裕はあるはずだ。


 ただ俺は一つ、取るかどうか迷っているスキルがある。

 『スキル変換』を使用し、ホログラムをスクロールさせていく。


……

スキル魔法

……


 スキル魔法――フェリスの話では、恐らく俺の祝福でだけ得られる特別なスキルの可能性が高いってことだったが、うーん……取るべきだろうか。


 スキルポットに既に魔力はギリギリまで溜めている。

 おかげで獲ろうと思えば、いつでも獲得は可能だ。


 ……いや、やっぱり答えは女神様に聞いてからにしよう。

 何かあった時に話を聞けるように、わざわざ祈祷スキルも取ったんだし。


 ジェンに行ったら、女神様の教会に行ってさっそく話を聞くことにしようかな……そんな風に考えながら、いつものように魔力を使い切っては起きてを繰り返すことしばし。


 そろそろジェンの街が見えてくるか……といったところで、俺の魔力感知と生体感知に反応があった。


 これは……反応的に人と魔物、かな?

 動物にしては魔力が多い気がするし……。


 感知を続けていると、どうやら人間側が劣勢のようだとわかる。

 窮地を知っているのに助けないというのも寝覚めが悪い。


「ごめん、ちょっと人助けするから待っててくれる?」


「え……ちょっと、坊ちゃん!?」


 俺は御者のおっちゃんの制止を振り切り反応の下へ急行する。


 するとそこには――手負いの女の子達三人と、それを取り囲むように布陣している豚頭の巨人の姿があった。

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