第8話


 更に二年の月日が経ち、俺は七歳になっていた。

 ブルスを倒してからというもの、俺は今までの血と暴力による圧政が嘘であったかのような、平和的な毎日を送ることができている。


 フェリスとの訓練のせいで心がボロボロ(身体の傷は光魔法で治せるから)になることはあっても、深刻な怪我を負うようなこともなく日々強くなっている。


 ちなみにブルスはというと、俺のことをどうやら化け物か何かだと思っているらしい。

 あれから廊下なんかですれ違う度にひいぃ~と叫びながら逃げられている。


 まぁ実害はないので、放っておいている。


 この二年間で俺は更に強くなった。

 俺の成果を、刮目して見よ!


「鑑定!」



マルト・フォン・リッカー


レベル11


火魔法 レベル7

水魔法 レベル6

風魔法 レベル9

土魔法 レベル5

光魔法 レベル10(MAX)

付与魔法 レベル10(MAX)

召喚魔法 レベル3

精霊魔法 レベル1

時空魔法 レベル8

物質魔法 レベル7

魔力回復 レベル8

魔力量増大 レベル5

消費魔力減少 レベル6

与ダメージ比例魔力回復 レベル2

鑑定 レベル10(MAX)

剣術 レベル3

短剣術 レベル3

投擲術 レベル3

タフネス レベル10(MAX)

体力増大 レベル7

肉体強化 レベル5

与ダメージ比例体力回復 レベル2

攻撃力増大 レベル4

防御力増大 レベル3

敏捷増大 レベル5

精神力増大 レベル7

魔法攻撃力増大 レベル6

魔法防御力増大 レベル5

気絶耐性 レベル10(MAX)

睡眠耐性 レベル10(MAX)



 鑑定のレベルを上げたことで、とうとう俺自身のレベルが見れるようになった。

 レベル11……実戦なしでここまで上げられているのは結構すごいと思う。


 屋敷の外に出た時に練習がてらよく鑑定を使うんだけど、明らかに戦うことを生業としている人でもない限り、レベルが10を超えることはあまりないからな。


 ステータス表示みたいな感じで攻撃力や防御力まで詳細な値が出るかと思ったんだけど、そう上手い話はないようだった。


 ただやはりレベルが上がると各種能力値が上がるようで、今の俺は付与魔法なしでも、本来の七歳児では持てないような重い荷物を持ったりできる。


 次はスキルレベルについて見ていこう。

 この二年間、とにかく魔法と最大魔力量を鍛えることだけに注力したことで、とうとう付与魔法と光魔法のレベルが10になった。

 MAXの文字を見てわかる通り、スキルのレベルは10で最大だ。


 なので二つの練習はとりあえず一段落とし、今まで練習していた分を他の魔法に使うようになったことで、各種属性のレベルもかなり上がっている。


 もちろん新しいスキルもいくつも取っているぞ。

 まず魔法で言うと、召喚魔法と精霊魔法の二つだな。

 ただこの二つの魔法なんだが……現時点で、あまり戦闘の役に立っていない。


 召喚魔法は、簡単に言うと召喚獣と呼ばれる僕を召喚して使役する魔法だ。

 どうやら使役が可能な召喚獣の数と種類はレベルが上がるごとに増えていくらしく、現時点で9体の召喚獣の使役が可能となっている。


 1、4、9という風に上がっていったので、恐らくレベルの階乗分の使役が可能になるのだろう。


 つまり将来的には10種類の魔物を10体ずつ、合わせて100体の召喚獣を使役することができるようになると思われる。

 俺が最初に付与魔法を極めようとしていたのは、実はこの召喚魔法とのシナジーを考えてのことだった。

 付与魔法で強くした召喚獣を使って無双しようと思っていたんだが、俺の目論見はあっけなく崩れ去ることになる。


 召喚獣に対して付与魔法を使うことは可能だったのだが……召喚獣が、ぶっちゃけてしまうと結構弱かったのだ。


 レベルが最大まで上がった付与魔法を使えば一応そこそこの強さにはなってくれているんだけど……少なくとも現時点で俺が戦って勝てるくらいの強さなので、今後の戦いを考えるとついてこれないと思う。


 スキルポットに入れた魔力量は正直時空魔法や付与魔法より大きかったので何か使い道があるとは思うんだけど……今のところはあまり有効活用できていない。


 そしてもう一つの精霊魔法は、世界中に遍在している精霊達の力を使う魔法だ。


 精霊魔法の利点は、威力に難がある代わりに魔力を使わずに発動することができること。

 そして欠点は、精霊が多く集まる場所でしか使うことができず、魔法自体が安定しないこと。


 魔力を使わずに魔法が使えるというのは魅力的だが、今のところ使おうとしたらボヤ騒ぎが起きたため完全に封印しているためレベルは1のままだ。


 本当は氷魔法や雷魔法みたいな攻撃用の系統外魔法も取っておこうかなと思ったんだけど、とりあえずこの二つを取らせてもらった。

 ぶっちゃけ、攻撃は四属性魔法だけで事足りると思うんだよな。


 フェリスも色々手を出すより一つの属性を極めた方がいいと言っていたし、とりあえずフェリスが一番得意な風魔法で免許皆伝をもらうまでは、あくまで戦闘で使う魔法は風属性中心でいこうと思っている。


 この二つの魔法以外にも、色々と各種バフや武器関連のスキルなんかも取っている。

 これだけスキルを取りまくっていると、スキルについてのことも色々とわかってきた。


 未だに一本取ることはできないものの、以前よりいい勝負ができるようにはなってきたと思う。

 そう遠くないうちに、十本先取で一本取ることくらいならできるようになりそうだ。


「うーん……」


「どうしたのですか、マルト様?」


「――わあっ、フェリス!? な、なんでもないよ!?」


 けれど俺には一つ、悩みがあった。

 前世のこと、そして転生のこと、女神様から与えられた『スキル変換』の祝福のこと。

 これら重大な秘密を、俺は未だにフェリスや父さん達に言うことができないでいる。


 俺が明らかにこの年齢としてはおかしな力を持っていることには、皆気付いているはずだ。


 けれど皆俺のことを考えてくれているからか、誰一人として詳しい事情を聞こうとするようなことはしてこなかった。

 俺としても、その優しさに甘えてしまっている部分があった。


 でもそれじゃ……ダメだよな。

 それに今後強くなることを考えれば、スキルのことや魔法のこと、国際情勢や邪神の使徒の情報などなど、知らなくちゃならないことは沢山ある。


「フェリス、話があるんだ」


「はい……なんでしょうか?」


 そうだ……勇気を出して打ち明けよう。

 一度覚悟を決めてしまえば、後は早かった。

 俺は大きく息を吸うと、勇気を振り絞ってフェリスに事情を打ち明けるのだった――。

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