第3章 『ダメだ』

暫くぶりに連絡をした。


4ヶ月経った頃だろうか。


たぶん、ゆかりに用があったのではなく、大阪の会場か出演者を探して欲しいという連絡をしたと思う。


熱心に協力してくれたのを覚えている。


話の流れで、最近の歌活動についても聞いたりした。


かなり思い詰めているという話を聞いた。


私は、気晴らしになるかと思い、


あるオーディションに参加しないか?と言った。


新しく始めるラジオ番組「ぐずり。おじさん」のオーディションだ。


これも不思議なのだが、実はオーディションに出したい別の女性が居たのだ。


その女性が、数日前にドタキャンをしたため、私はオーディションに呼ばなかった。


空いた枠に、ゆかりを入れたのだ。


これも縁(えん)というものだろうか。


本人も、大阪から名古屋までわざわざ来ると言う。


一応、オシャレっぽいお店の一角で、オーディションをした。


ただ、内容はゆかりの人生相談に近く、オーディションにはほど遠い。


会話している半分以上の時間、ゆかりは泣いていた。


歌活動に見通しが立たない今の状況。


空回りしている、今の自分。


全て辛そうに見えた。


いま考えれば、この時、私は動かされたのかも知れない。

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