雑音

水魂揺れる、昼下がり。

傘を差しながら電子煙草を下していましたら、オイルが切れかけたせいかコイルの焦げた匂いがする。


初めて電子を買った時、パーツを変えるタイミングが分からなくよく少々焦げた煙を吸っていた。この匂いは私の時間を少しばかり巻き戻してくれる。


左耳のイヤホンから好きなアーティストの最新レコードミックスを食う。心地の良いスクラッチが耳を犯す。

テンポに乗ってつま先を上下に揺らすと足元の雨水に小さい波が出来る。

雨の音が日常に混ざる時は、まるでレコードのホワイトノイズみたいで好きだ。


針を落とすのものもいいが、小さいディスプレイの再生ボタンをタップするのも一興だ。

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私は大麻の煙でした 孔雀と煙 @Kujaku-kemuri

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