問題は何なのか?

とある学園の話


「モンスターは道具だ。貴様に指図される言われはない!」

「モンスターも生き物だから大切にしてあげなきゃダメだよ!わたしはそんな扱いをしているのを見てみぬ振りは出来ない」

ここはモンスターを従属させ人が扱えるように出来るテイマー達の学校である。従属したモンスターとテイマーには紋章が浮かび上がり従属しているか分かる。

従属させる方法はいくつかありモンスターと仲良くなり認められた場合、力を示し屈服させる場合、他人から譲渡された場合がある。

従属方法から人の考えが別れるのは必然である。今起こっている言い合いはまさに考えの違いから起こっていた。

「このモンスターは俺に従属しているだから俺がどう扱っても構わないはずだ口出しするな!」

「その子は明らかに弱っているから休ませるべきだと私は言っているの。」

「貴様はモンスターと仲良く出来ても従属させることが出来ないからモンスターに媚び売って襲われないようにしたいだけだろ?」

「違うそんなつもりは··」

この少女はモンスターと仲良く出来ているのになぜか従属させることが出来ていないのだ。故郷ではモンスターとの関係からテイマーの素質を期待されていた。学園では好成績を取れていたが実技、従属に関しては上手くいかずにいた。

従属を出来ていないとモンスターが暴れた際大人しくさせることが出来ずモンスターを街中に連れ歩くことが出来ないことになっている。そのせいで少女は周りのテイマー、テイマー候補から見下されていた。

「モンスターを従属出来ない者はテイマーとは呼べないだろ?この学園にいつまでもしがみついているんじゃない。」

「従属をさせることはいつか出来るはず、何故みんなが嫌がるのか分かりさえすれば。」

「お前だけだぞ一番弱いモンスターすら従属出来ていないのは。モンスターで戦えない奴が俺に指図するなよ。」

従属とはモンスター側にもメリットがある。基本能力の向上、一時的な身体強化の付与を受けられるなどがある。そしてお互いを殺すことが出来なくなることから擁護下に入ると言う認識も出来る。だが従属関係はどうしてもテイマー側が上になるため殺さなければ大体のことが出来てしまう。仲良くなれたとしても従属関係になれない場合があるのは主にこれが原因である。

「俺に意見したいのであれば戦うことだな。まあお前には使えるモンスターはいないだろうがな。」

「モンスターを戦いにだけに使いたくないよ。あれ?この音は何?」

鐘の音が鳴り響いた。しかしいつもならすぐに終わるはずの音が終わらないことに周りの生徒達も戸惑っていた。

「ドラゴン型のモンスターがこっちに来ている避難しろ!」

そんな教師の声がした。しかし少女は眩い光に夢中になっていた。その光の方向にはドラゴンが飛んでいた。



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