第4夜
学校の帰り道に、近所のカフェに夜と黒羽は立ち寄っていた。
「あのさ、今日俺練習あったんだけど話ってそんな重要なことなの?」
「もちろん、これは俺たちにとって重要なことだ。ところで明晰夢って知ってるか?」
「あれだろ?夢の中で好き勝手出来るやつだ。懐かしいな何度練習したことか……じゃなくてっ……なんだよその顔」
「そうだよな。卒業したとは言ってるが……わかってるからな」
うん、うん、わかるよと夜はにやにやしながらうなずいた。
「それで?今ごろ明晰夢なんて、そんなのとっくの昔に知ってると……ってまさか……見たのか?詳しく!どうやって?」
バン!と思いっきり机を叩き、勢いよく身を乗り出していろいろ質問した。
「正解!そのまさかだ!その話をするために誘ったんだから、落ち着けよ」
「細かいところまで、詳しく聞かせろ!」
「そうだな……何から話すか……って外のあれやばくないか」
「なんだよ、早く話せよって……あれはやばいな」
何から話そうか迷っていると窓の外に、包丁を振り回して走り回っている男がいることに気づいて、黒羽に指をさして伝えた。
「急げ、追いかけるぞ!」
昨日の夢の中で無双プレイをした興奮と、精神が疲れて正常な判断ができていなかった夜は荷物を持って、勢いよく飛び出していった。
「はぁ?なんでだよ!危ないだろ!ここは普通警察だろ!あと会計!」
一向に夜の思考を理解できない黒羽は真っ当なことを言いながらも、テーブルにお金だけ置いて夜の後を急いで追いかけた。
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追いついたけど、下手に動かれて人質を取られると危ないな、こういう時は……。
ハッ!道端に落ちている、小石を拾い上げ男に向かって投げつけた。
よし、食らいついた!ヘイトを自分向けてっと、ここでいいか。
周囲に人がいなさそうな裏路地に誘い込んで迫り来る男と対峙した。夜は初めて男の顔を確認すると、明らかに男が異常であることに気が付いた。
これは……人間というよりも……ただ力を振り回す、獣みたいだな。包丁を振り回しているが所詮は素人!
勢いよく包丁を突き刺そうと突っ込んでくる男の手をつかみ、少し余裕をもって躱すと同時に、男の勢いを利用し、そのまま首をもう片手で押さえつける。
一瞬の攻防の後、男は地面に倒され包丁を手放した。
そのまま動けないように捕まえていると黒羽が追いついた。
「大丈夫か!?……見た感じ、大丈夫そうだな。」
刺されるんじゃないかと心配して追いかけてきたが、何事もなかったかのように男を拘束している夜を見て、一気に心配が吹き飛んでしまった。
「お前どうかしてるんじゃないか?いくら剣道で戦いなれているとはいえわざわざ危険を冒しに行くようなことはしないだろ!」
「そうだな……確かに俺は何をしているんだ……いつもならこんな判断はしない。すまない……」
本気で心配してくれている黒羽の言葉を聞き、我に返った夜は自分がしでかしたことに後悔した。
「あなたたち!そこで何をしているの!」
急に少女に声をかれられた2人は今の状態を客観視してみた。
「なぁ?裏路地で、おっさんを押さえてる高校生2人、気絶してるおっさん、何も知らなさそうな少女、高校生が包丁を持った男を素手で取り押さえたって言って信じる人どんだけいると思う?明らかに面倒ごとの匂いがする」
「同感だ、僕もそう思う、事情聴取は結構時間とられるらしいと聞いたことがあっる、となると……」
二人は明らかな面倒ごとを避けたい気持ちが重なり合った。視線を合わせると「「逃げるぞ!!」」勢い良くその場から立ち去った。
「ちょっと待ちなさい!ってこの反応おかしいどうなっているの?」
少女は高校生たちを追いかけようとしたが手に持っているレーダーが寝転がっている男から発せられていることに気が付いた。すぐさま携帯を取り出してどこかへと電話を掛けだした。
「お疲れ様です!憑依した魔物を只今補足に完了しました。しかし少々奇妙な点があります。補足した時にはすでに魔物が霧散していました。……はい。霧散していることからほかの人間に憑依していることはないと思います。それとターゲットの撃破は二人組男子の高校生です。私が到着したときにはすでにターゲットはやられていました。」
その後も少女はしばらく詳細を伝えた。
「はい!以上が私に沸かす全てですね。…………新たな任務ですか?ですが私には他にも逃走中のターゲットの補足の任務が……なるほど分かりました。では失礼します。」
少女は電話を切るとめんどくさそうにつぶやいた……。
「学校行きたくね~~」
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