第9話
(なんで、さっきしちゃったばっかなのに…!)
歩くたびにじくじく下腹が痛む。さっきと同じくらい、いや、さっきよりしたい。手で前を押さえたいけど、さっきせっかく綺麗にしてもらったのにって思ってしまう。ぐいぐいと掴まれていない方の手でズボンを引き上げるくらいしかできない。でも、さっき漏らしたからわかる。絶対、我慢できない。
(どうせ濡れてるし…)
少し前を歩いている先輩の目にはつかないはず。ちょっとずつ出してしまえばバレないのでは?
(ちょっとだけ、ちょっとだけ…)
じゅいぃ…
「んっ、」
冷たくなった布が再び熱を持ちはじめ、微かな快感が腰を震わせる。もっと、もっと出したい。
じゅぃ、じゅうう、じょわぁ…
足を生暖かい液体が何本も伝って、ぐちゅぐちゅと音を立てている靴に吸い込まれていく。
「っふぁ、」
(こっち、みませんように、)
括約筋を緩めては引き締めて、緩めては引き締めて。
じゅぃいい、じょおおおおお、
(あっ、まってまって、止まってっ、)
回数を経るごとに強まる水流。まずい、このままじゃ音でバレちゃう。
「っぁ、」
じょおおおおおっ、
ぐい、ぐい、ぐい…
最早止めることは不可能で、着々と足をつたい、地面にも落ちていく。
「ん?どーした?気分でも悪い?」
歩幅が合わなくなったのだろう。足を止めた先輩が後ろを振り返った。
「いや、その、ぁ、」
しょわぁぁぁぁぁ…
足を何度も何度も組み替えて、手を振り解いてズボンを引き上げて。
「あっ、おしっこ、まだ、ぁっ、」
っしぃぃぃぃぃぃっ、
「あ、ちがっ、ちがうっ、ふぁ、ふぁぁぁ…」
ぱちゃぱちゃとアスファルトの地面に落ちていく液体。顔が一気に熱くなって、恥ずかしくて逆に頭がぼーっとして。
「ぁ、ぅ、」
(早くとまってっ、も、やだぁ、)
一度大きく開いた尿道は閉じることが難しい。生理的な涙が浮かんで、恥ずかしくて、でも変な声を止めることはできなくて。
「大丈夫だからやっちゃいな?」
「~~~~~っ!!!!!!」
しゃああああああああああ…
とんとん、と膀胱のあたりをつつかれたのが引き金となった。脳天に電流が流れたように全身がブルリと震えたのち、凄まじい音を立てて、体の中の水分が排出されていく。
「っはぅ、ぅ、んぁっ、っぁっ、でちゃ…」
俺は16歳で、高校一年生で、なのに、小学生でさえするか分からないお漏らしをしてしまっている。しかも、2回も。先輩にバレないようにしようとして、結局バレて。とんでもなく恥ずかしい状況のはずなのに、気持ちよすぎて何も考えられない。
(きもちぃ…おしっこ、いっぱい…はぅ、)
じょろろろろろろ…
なかなか止まることのない排出にも終わりがやってくる。
「っと…お前ほんとに大丈夫か?」
すごい勢いで縮む水風船と、力が入れられないほどの快感の余韻で体が思わずふらついてしまった。肩にかかるゴツい手のひらは、俺の傾いた体を元に戻してくれる。
「相当我慢してたんだな。貧血っぽくなってるんだろ」
「すみませ…」
5分もしないうちに校門が見える。もうちょっと我慢すれば、トイレで出来たんだろうっていうのが頭をよぎって涙が滲む。
「どうする?今日はもう帰る?」
「あ…」
練習、練習しないと。昨日も一昨日も休んだんだから。体調なんて悪くない、ただのズル休みなのだから。
「かえり、たい…」
「そっか。じゃあ荷物とってくるな。ロッカー番号何番?」
また、逃げちゃった。
「ごめんなさい…」
「無理してもいいことねーぞ。気にせずゆっくり休め。な?」
気遣うように髪を撫でられる。その手がずしりと重い。また、胃がチクリと大きく痛んだ。
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