第三夜 廃工場の遊園地

 灰色の空の下、大きな駐車場が隣接した廃工場に友人と二人で向かっていた。そこは、人里離れた場所だった。

 敷地にこそフェンスのたぐいはなく、誰でも入れそうな場所である。周囲に動くものの気配はなく、工場は崩れていびつになった工事現場の足場のようなものに囲まれている。唯一ある入り口も長方形をいびつに崩した不格好な形で、暗闇をその中にのぞかせている。

 そんなところまでどうやってやってきたのか、保護者を伴わずにやってきた二人は、そのまま工場で遊び始める。

 工場の中には、外にもあったいびつな工事現場の足場のようなものがそこら中にあり、二人はそれに乗ったり、飛び移ったりしてアスレチックのように遊んでいる。

 そのうちに、二人で特に大きな足場に乗ってその端へ走り始める。その足場は大きなジェットコースターのような形をしているが、そのレールは途中で途切れているので、それを見ている自分は危ないと感じた。しかし、声が出せたり、何かを動かせたりすることはなく、ただ見ていることしかできない。

 幸い、何事もなく無事に戻ってきたので、ほっと胸をなでおろしていると、今度は夢の中の自分が高く壁の形に組まれた足場の頂上で立っている。しかも、いつの間にか夢の中の自分と同じ視点になっている。

 あ、と思った瞬間、自分はその足場から足を滑らせる。顔を下に、うつ伏せの姿勢で落ちていく。たった数秒ではあるものの、すさまじい風圧を感じる。恐怖を感じながら落ちるも、不思議と衝撃はない。

 そこに、友人が駆け寄ってくる。

「おーい、大丈夫かー?」

 自分をのぞき込んでそう言う友人。少し心配を含んだその声を文字通り一笑に付すように、夢の中の自分はくるりと仰向けになってこう言った。

「アハハハ、だいじょーぶ! すっごい楽しい!」

 そうして、時間が過ぎていく。視点の戻った自分からは、いつの間にか彼らの姿は見えなくなり、楽しそうな声だけが聞こえてくる。見えるのは廃工場の足場ばかりで、見ているうちに不安になってくる。

 いよいよその不安が最高潮に達したころ──突然、ぷつんとチャンネルが切れるように目が覚めた。

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