第6話現状を、確認しよう

執事のカルロスに、案内してもらって、訓練場に着いた。


カルロスに、名前を聞いた時は、びっくりしていたけど、教えてくれた。


カルロスは、レイアスが、悪魔召還をしようとしていた事を知っていたらしい。


ひとまず、記憶が混乱している事を伝えると、何故か納得したようだ。


「さて、魔力は、普通に練れるみたいだな。」


力を体の中心に集めるよう、集中すると熱のようなものを感じる。


ユリウスには及ばないものの、かなりの量の魔力を感じた。


「風よ刃となれ、ウィンドスラッシュ」


試しに、風の初級魔法を使ってみる。

一応発動はしたが、的に少し傷を着ける程度。

やっぱり、この身体では風魔法の適正はないようだ。


水魔法も同じくような感じだった。


「炎の矢よ敵を打てファイヤーアロー」


火の初級魔法を放つ。的を粉々にして燃やし尽くした。

流石の威力だな。


レイアスは、確か火と、土の二属性持ちだった。


続いて、放った土魔法もかなりの威力だ。


属性魔法は、レイアスの身体の適正を引き継いでいるようだ。


最後に、聖属性魔法を、試してみる。

「光よ闇を払えレイウォール」


うん、問題なく発動するな。


レイアスは、聖属性はもっていなかった筈だ。

というか、勇者シオンとユリウスしか使える者はいない。


特殊属性は、魂に由来するのだろうか?




ふと、右手の、魔法紋を見る。

小説知識では、ブリューゲルの権能は、罪。

罪を重ねるごとに力が増すのだ。

それは、盗みなども含まれるが、最も力を得るのは、殺人だ。

レイアスは、大量殺人を行い、権能で能力を底上げしていた。



・・・・俺は、絶対この権能を使う事はない。



これで、一通り確認できたな。



「レイアス様、そろそろ夕食の時間になりますが、如何しますか?」


丁度良いタイミングで、カルロスが声を掛けてきた。

なかなか、出来る執事らしい。


というか、めちゃくちゃお腹がすいた。


カルロスと共に、食堂に移動中、メイドや執事等の召し使いは、みんな怯えたように顔を伏せている。



食堂につくと、豪華な夕食が用意されていた。

早速、美味しそうな鳥の香草焼きに、ナイフを入れる。

ん~~美味しい。

日本では、コンビニやレトルトばかりだったから、丁寧に、作られた食事が身に染みる。

何より、かなりお腹が空いていた。


もぐもぐもぐ


あっという間に、香草焼きを食べ終わると、次はフルフルエビのスープを手に取る。

これは、ユリウス時代、大好物だった食材だ。日本にはなかったから、懐かしい。


ふと、視線を感じて顔を上げると、ずらりと並ぶ使用人達が、驚愕の表情でこちらを見ている。


「な、なんだ?!」


「レイアス様が、その様に美味しく食事を召し上がるのが、久しぶりなので、皆驚いているのです。最近のレイアス様は、不味いと言って、ほとんど食事をなさらず、黒睡蓮ばかり吸っておられました。」


「えっ、黒睡蓮?俺がか?」


黒睡蓮とは、悩みを忘れられる変わりに、廃人同然にする薬だ。

・・・・なぜか、薬の影響は出ていないようだ。転生の影響か?


良かった~~~


ホッと胸を撫で下ろす。

あんなもの、絶対に手を出してはいけない。


しっかり、デザートまで、食べて、一息つく。

流石に、疲れた。


「レイアス様、お休みになりますか?」


これからの事は、明日考よう。


入浴を済ませ、すっきりした後、すぐにベッドに向かう事にした。


ちなみに、お風呂やトイレ、照明などは、魔法石によって、日本のシステムと変わりない。

違いといえば、スイッチのオンオフに、魔力を使う事くらいだ。


その点は、本当に良かった。


黒一色のベッドに潜り込むと、あっという間に、眠りに堕ちた。






















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