第3話異世界に再び転生する

全身を襲う痛みに、目が覚めた。

腹を刺された痛みとは違う、打撲みたいな痛みに、嫌な予感がする。


今度こそ死んだはずだと思ったんだけど、どうゆうことだ?!


いや、別に死にたかった訳じゃないんだけど。

なんか、変な雰囲気の場所なんだよね、ここ。

地下の秘密施設みたいな、いかにもな怪しさがある。


しかも、目の前には、赤く不気味に光る魔方陣。

禍々しい魔力が渦巻くそれは、尚も輝きを増していく。


ちょっと、色々解らなすぎて、付いていけない。


まず、自分はいったいどうなったんだ。

死んだのか、生きてるのか?


呆然としていると、魔方陣の中から全身真っ黒な服装をした男があらわれた。


「我が名は、罪悪の悪魔ブリューゲル、我を呼び出したのはお前か?」


「はっ、えっ、、、えっと、違いますけど」


俺は、決してそんな極悪そうなもの呼び出していない。


「・・・そんなはずはない、確かに、魂を贄として、我は召還されている」


ちょっと焦った様子の悪魔ブリューゲル。


「お前の願いは、私との契約。あっているな?」


「違います。契約したくありません。」


絶対こんな怖そうな奴と契約したくない。 


「なっ!!!それは、出来ないぞ!私はもう、代価を受け取っている、悪魔は契約を違えない。ゆえに、契約はしてもらう。こっちに来るのだ。」


悪魔の魔力によって、無理やり魔方陣の中心に立たされる。


「やめろ!訳が解らない!俺は、力なんて欲しくない!平和な日常で十分だ!離せ」


まったく、体が動かない。

ユリウスだった頃の俺だったら、聖属性魔法でもう少し抗えたはずなのに。


「罪悪の悪魔ブリューゲルの名において、汝レイアス・ブラックとの契約を行う。」


暗黒の魔力が右手に集まるのを感じる、邪悪な魔の紋章が刻まれていく。

焼けるような痛みに思わず顔をしかめた。


「やめろ!契約なんて、したくないんだ!」


忘れかけていたユリウスの時の感覚を必死で思い出していると、魔力が集まってくる感覚、これならやれそうだ。


「光よ闇を払え、レイウォール」


俺を中心として光が集い、闇を払うバリアを形成した。ブリューゲルを弾き飛ばす。


「これは、驚いた。先ほどまでのお前には、聖なる気配は感じなかった筈なのだが。しかし、少し遅かったな、契約は終了した。聖属性を持ちながら、我と契約したお前の行く末を楽しみに見物するとしよう。」


大したダメージを、受けた様子のないブリュゲルは、漆黒のマントを翻すと音もなく消えた。

床の魔方陣も消えていく。

おそらく、魔界に帰ったのだろう。


忌々しい、右手の魔紋を見る。


禍々しい魔力が渦巻き、さながら呪いのようだ。


本当に、どうしてこうなったんだ。

少し前まで、平穏に仕事をしていたのに。

流石に自分の数奇な運命に泣きたくなってきた。


というか、この世界は少なくても魔力のある世界。日本ではないな。やっぱり、俺はもう一度死んでしまったみたいだ。



よろよろと壁を伝い立ち上がる。

この地下から脱出して、誰かに助けを求めよう。

地上に出られそうな階段があったので、上っていく。


重い扉を押し開けると、更に暗い通路が続く。

もう、早く休みたい。


通路の行き止まりの扉を開けると、誰かの私室と思われる部屋にたどり着いた。


壁紙も、ベッドも家具も全部真っ黒。

すごいセンスだ。アンティークな感じが、中二感を増長させる。


ふと、横を見ると全身を映せるくらいの大きな鏡があった。


・・・・・!!!!?????


「えっ、う、嘘だろ。」


そこに映っていたのは、腰まで届くボサボサの黒髪に金色の瞳の男。

元の顔は整っているが、ガリガリの身体と堕ち窪んだ目。


前世で、読んだ小説「ラディアン王国物語」に出てくる中ボス的な悪役。


そしてなにより、俺をユリウスを殺した男、

レイアス・ブラックその人だった。









*キャッチコピー間違えて逆にしていました。

正しくは、弟子×師匠です。

まだ暫くの間、弟子くんは出てこないです。

勢いで、書いてしまいましたが、なんとか完結出来るよう頑張りますので、よろしくお願いします。











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