第4話 目が冴えて眠れない系の問題対処

 明日の仕事が不安、怒られて嫌だ、腹が立つ。仕事をしているとどうやってもこれらは出てくる。そしてそれらの事象を全部回避して過ごす事も無理だ。無職なら無職で将来の不安が出る物だから。


という事でどうやって対処をするか。結論は前述通り十キロの自転車通勤なのだが、それの要素と構造は一体何なのか。


調べた結果、ストレス値を「合わせる」事が肝要であるという結論に至った。


この考え方は学術的な観点からするとおかしな所はあるのだろうが、私自身の実地試験で得られた一例として、また表現として一番わかりやすい形で書かせていただく。


まず構造として、ストレスは二種ある。それは精神ストレスと肉体ストレスだ。精神ストレスは不安や怒りなどで、肉体ストレスは痛みや肉体の疲労である。


そして睡眠において問題なのは、この二種のストレス値にギャップがある場合、非常に眠りにくくなるという事だ。


体を壊した時の私の仕事は、体を動かす量は少ないが精神ストレスは極めて多い環境であった。その結果、精神ストレスによる疲労感こそあれど、肉体自体は極めて元気であったのだ。そして今の世の中、そんな仕事は多いのではないだろうか。


私はこのストレス値の簡易測定として、手のひらを全力で握る事を偶にする。ストレスギャップが高ければ高いほど妙に力が入り、力を入れ続ける事が出来る。なおギャップが無い時は力み続ける事が難しい。


このギャップを埋めるには、消耗した精神ストレスを回復させる何かがあれば良いのだが、安定して供給できるものはどこにも無かった。


なので私はある種暫定対策として、肉体にストレスを与えて両方とも負荷がかかった状態にする事を選んだ。


高い精神ストレスがかかった際、怒ったり、暴れたりしたい。けど実際それをやると大体問題になる。なので我々は我慢する。そうすると肉体からすりゃ意味わかんねえのだ。


精神的なストレスがかかったら、生物としては暴れる事こそ正道であるようだ。そうしなければ社会も無い動物だった頃の我々は活路を開けなかったのだろう。


なので今我々は体面を保ったまま暴れる必要がある。そして私はそれが自転車だった。それもそうだ、サドルに乗ってめっちゃ地団太するのと同じなのだから。それを何もない所でやったら狂人であるが、自転車に乗って走ると体面が保たれるのだ。


なお高精神ストレス時に自転車を漕ぐと、すごい力が入りやすい。結局、体が精神ストレスにより危機感を抱いている状態なのだろう。そんな中、足という人体で一番大きい筋肉を動かす事で、その危機から逃れるというのは人体の基本機能としてある種納得がいく。


そうして怒りのまま脚を動かしていると、徐々に力が抜けてくる。それがストレス値のギャップが取れ始めた頃だ。そのままもうしばらく走り続けるとギャップが無くなり、その日の夜はよく眠れる様になっている。


またこのストレス値調整に対しての運動内容は、筋トレのような無酸素運動よりも、ある程度心臓を動かすような有酸素運動の方が効果を感じる。


ただウォーキング等では私はあまりすっきりしないので、息が切れるような強度の運動である必要がある。


なので胃腸機能に対してはスクワット等を勧めたが、ストレス値に対してはランニングの方が効果がある。


そして両方欲しい場合は自転車で山を上る様にしている。こうすると頑張って漕ぐ無酸素の時と、だらだら上る有酸素の時を使い分けできる為、ストレス対策として極めて運用しやすいのだ。


何よりも乗車ポジションさえ出せば足を痛める事が少ない上、私は更にちょっと特殊なポジションにしている事で、腰痛対策も行っている。


座り仕事が続く場合、尻の筋肉が固まると腰痛が発生すると過去人気のマッサージ店に聞いた。


その固まった筋肉は無痛で攣った状態になっており、縮んだまま固まり(肩コリとかのコリがこれ)、その状況で体を動かすと関節がすり減ったり痛んだりというのが一連のプロセスなのだそうだ。


この固まった筋肉を外部から押したりなんだりしてほぐすのがマッサージ等なのだが、自身にマッサージするのは難しく、ストレッチを一通り試しても、ちょっとマシになるくらいしか伸びない。どうも私は筋肉が硬いようだ。


そしてこの筋肉の解除法はもう一つあり、それはその攣った状態の筋肉を使い続けて無理矢理伸縮させて解除する方法だ。私は自転車でそれをやっている。


最初は乗りづらいのだが、時期にしびれが戻るような感覚が走り、その後関節が良く伸びるようになる。これのおかげで腰痛に対して一人で対処が可能となった。


以上から一石三鳥となり、自転車は私には無くてならない物となっている。そしてその集約が片道十キロ以上の自転車通勤だった。


これは非常に効果的で、休日よりも平日の方が体調が良いまであった。通勤ラッシュも関与せず、何より朝一で自転車を漕ぐ事で頭にしっかりと血が入り、業務効率もとても高くなる。私は頭を下げてでも自転車で通勤させてほしいと頼んだぐらいだ。


なお、体を壊した会社では通勤距離が役一キロだった。当時は体の不調は何故だと思っていたが、今ではそりゃそうなるわなあと思う状況であり、毎日の運動というのはありきたりであるが極めて有効であるのだろう。


では片道十キロも走れねえ、そんな環境もねえという場合だが、一連の傾向として一番肝要なのは心臓を動かす運動を日々どれだけできるかという事に絞られる。


それを念頭に置いて運動する術を探すのが良いだろう。そして体力が少ない方は、実はそっちの方が得で早くストレスのギャップも合わせられるはずだ。


なぜならこれは体力が付けばつくほど、必要な運動量と強度が増えて手間と時間が増えるのだ。なので体力が無い方は無いなりに運動をして、ある程度すっきりする感覚を理解できれば、そこが答えとなるはずだ。


また、肉体ストレスには痛みも含めているが、これの理由はリストカット等の自傷行為もストレスギャップ調整に含まれている可能性が高いからだ。


私は人間という生物は精神ストレスが高いのに、体がなんともない状況を理解する事が出来ないので、自傷にて帳尻を合わせようとしているとみている。


しかし自傷行為よりも運動の方が健康的で肌にもよく確実にすっきりする。だが運動も、筋トレも。筋繊維の断裂や、骨のマイクロクラック、代謝による細胞の転換も、ある意味では自傷行為と言える。なのでこの二種は同一の欲求ともとらえられる。


また、肉体ストレスが高く、精神ストレスが低いという状況はデータ点数が少ないがいずれも問題が無い。問題とならない為に詳細はなんとも言えないが、子供が疲れて寝るパターンを考えれば、恐らくこれが動物としての人間の一番正しい生き方だろう。


また両方のストレス値が極端に高い場合は容易に限界点を越える。ただこれは山で遭難とかその類の物なので、日常生活で起きる事はあまりない。


結論として、


精神と肉体のストレスがある。


精神と肉体のストレスのギャップを合わせる。精神ストレス値の回復は直ぐにできないから、少し息が切れるような有酸素運動をして肉体にストレスをかけてギャップを減らす。

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