第3話:一応デートの誘い。

アリスが吉本から告られたって聞いて、僕は彼女のここが好きなんだ

ってことにはっきり気づかされた。

そもそも初対面の時から僕は彼女に行為をいだいていたんだ。

一目惚れしてた。


でも主人と奉公人って立場で恋愛ってありえないだろうって意識なく

思い込んでた。

その時はそんなどうでもいいプライドが少しだけ邪魔をした。

いいんだよな、誰と恋愛したって、いけないなんてことないはず。


それにこのままだとアリスは絶対また誰かに狙われるに決まってる。

アリスが断ったとしても、そのたび見てる僕は気が気じゃない。


アリスに自分の気持ちを伝えることができないまま悶々とした日が続いた。


実のところ、僕はアリスを意識し始めてから、どんどん彼女にのめり込んで

いってしまってる。

日々、寝ても覚めてもアリスのことで頭がいっぱい。


だから僕は思い切ってアリスに自分の気持ちを告白することにした。

もう黙っていられない。


「なんでしょう?おぼっちゃま」


「うん、ちょっと話がしたくて・・・」

「あのさ、そろそろそのおぼっちゃまってのやめない?」

「名前で呼んでよ・・・春樹って」


「でも・・・おぼっちゃまですし」


「だから僕がいいって言ってるんだから、春樹って呼んでよ」


「分かりました、春樹さん」

「それで?私になにかご用ですか?」


「用ってわけじゃないけど・・・」


「ご用がないのなら私行きますよ・・・ヒマじゃないんですから」


「そんなに無下にしなくていいじゃん」


「じゃ〜なんでしょう?」


「あのさ・・・っと・・・ああそうだ、今度の休み、土曜日僕に付き合ってよ?」


「私ですか?」


「そう」


「春樹さんがお休みでも私にはメイドのお仕事がありますから無理です」

「他のメイドにお頼みになっては?」


「お母さんには僕から言っておくから、アリスを借りるからって」


「それならいいですけど、おぼっちゃ・・・あ、春樹さんにお供します」


「そう、それが言いたかったんだ・・・呼び出してごめんね」


「他にご用がなければ失礼します」


本当のところ僕の目的は自分の気持ちをアリスに伝えたかったんだ。

でもできなかった・・・なにやってんだか。


もし僕がアリスに気持ちを告白して断られたら、これから毎日顔を

合わすたびに気まずい思いをしなきゃならなくなる。

アリスだって迷惑だって思ったら僕んちにいたくないって思うかもしれない。

彼女に辞められたら困る・・・。


だいいちアリスの気持ちが、どうなのか分からないだろ?

僕のことなんかなんとも思ってないかもしれない・・・ああじれったい。


でもまあ、とりあえずデートの誘いはさりげなくうまくいった。

アリスはあくまで僕のお供であってデートだって思ってないだろうけど。

僕にとっては完全にデート、行くところも決めてあるし。


とりあえずデートに行ってその場の雰囲気告るかどうか決めようかな。


普段、魔法をむやみに使わないアリス。

ところがそのデートでアリスはようやく魔女としての本領を発揮する。


つづく。



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