第2話:魔法はおいそれとは使えない。

僕とアリスは仲良く学校に通ってる。

一緒に電車に乗ってバスに乗り換えて・・・そんな僕たちを見て、

できてるんじゃないかって噂する同級生もいた。


一応彼女は僕んちで働いてるハウスメイドさんだってことは学校にも

クラスの生徒にも言ってあるんだけど、それでもね。


ところで魔女だらけの世の中、みんな魔法を使ったら大変なパニックに

なってしまうよね。

アリスが言ってたように魔女の魔法には魔法省審議会によって制約が

かかっているらしい。


むやみに魔法を使ってはいけないってお触れが出てるんだ。

自分の私利私欲のためや人を騙したり傷つけたり怪我をさせたりするような

魔法は禁止。

もし規則を破った場合はそれなりの罰則が科せられる。


だけど素直にルールを守ってる魔女なんていないのが現状。

魔法省も殺人とかじゃないかぎり多少のルール違反は黙認してる。


僕はまだアリスのことを詳しく知らないから彼女がどんな魔法を使えるか

までは知らない。

まあ一通りは使えるんだろう。


たとえばホウキに乗って空を飛べるとか・・・あとはモノを動かしたりとか

魔法に制約がなかったら、いろいろできるのかもしれない。


アリスが家で魔法を使ってるところを見たのは庭の萎れた花に魔法を

かけて綺麗な花を咲かせていた時くらいかな。

彼女は立派なガーデナーになれるなって思った。


魔女の中には人を傷つけたり殺したりする魔女もいて指名手配なんかされてて、

街に出るとウォンテッドの手配書が出回ってる。

そう言う魔女は下手すると社会の脅威になるから犯罪に手を染めないよう

常に監視されてるんだそうだ。


さて授業を終えてアリスと帰ってる時、彼女が言った。


「あの、私今日、吉本君って男子から告白されました」


「うそ?・・・吉本?・・・あの野郎、うちの大事なメイドさんになにして

くれてんだよ」


吉本ばかりかアリスはクラスの男子から狙われてるみたいだ。

まあ、彼女のビジュアルなら無理もないけど・・・。

みんな可愛い魔女を彼女にしたくて狙ってるんだ。

世の中、女性は魔女しかしないからな・・・。


「それで?アリス、まさかおっけ〜しなかったよな?」


「はい、お断りしました、メイドとしての大切なお仕事がありますから・・・」


「よかった・・・あのね、これからだってこう言うことあると思うから」

「また告られてもおっけ〜しちゃダメだよ、いい?」


「分かりました・・・でも私には恋愛は許されないんでしょうか?」


「いや〜・・・それは自由でいいと思うけど・・・」


「だって誰からのアプローチも受けちゃいけないんでしょ?」


「それは・・・」


僕はそれ以上言葉がでなかった・・・それは僕が君のことが好きだからだよ、

だから僕以外の男に振り向かないで欲しいんだ、なんて言えるわけないよ。


つづく。

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