天空の村から来た魔女。

猫野 尻尾

第1話:やって来たハウスメイド。

僕の国は昔、主に日本人が多く住んでいた。

だけど、その遠い昔この日本にヨーロッパのほうだと思うけど魔女が

集団でやって来て魔女たちは日本の女性が邪魔だからって、ひとり残らず

魔法で消しちゃったんだ。


そんな理不尽な行為は許されないはずなんだけどヘタレな男どもは魔女に

魅入られて何もせずに彼女たちを受け入れた。


だから今は、この日本に人間の女性は誰ひとり残ってない。

女は魔女しかいない。


消されなかった男たちは種馬として残された。


女は魔女しかいないんだから結婚相手は魔女ってことになる。

結婚して子供が生まれても男は普通に人間の男として生まれて、女は魔女と

して生まれる。


僕の名前は「桜庭 春樹さくらば はるき」高校二年生。

父親は某有名企業のCEO。

魔女の母親は専業主婦。

大富豪とまではいかなくても、そこそこ裕福な家庭に僕は育った。


だから僕も恋人を作るのも将来結婚するのも魔女とってことになる。

まあ、魔女でもいいから彼女は欲しい。

一般的男子としてあたりまえの欲求。


当然僕のクラスの女子は全員魔女・・・でも広い教室を見渡しても

この子を彼女にしたいって子「魔女」はいない。

ひとりくらいいたっていいのに、ひとりもいない、!!


で、彼女欲しいな〜って思ってた矢先。


僕んちに最近までいたお年寄りの魔女のハウスメイドさんが

辞めたとかで、代わりに新しいハウスメイドさんが来ることになった。


新しいハウスメイドさんは、なんでも徳島県の片田舎の奥の奥の奥のほ〜う

にある「天空の村」って呼ばれてるところから来たらしい。


ハウスメイドさんは雇われた家に住み込んで特にこれといった専門担当を

持たず文字通り家中の仕事をひととおりこなすメイドさん。


最初に魔女がやって来た頃と違って今は魔女だって踏ん反り返ってちゃ

食べていけないご時世。

それぞれいろんな職業についてたりする。


で、僕にも母から新しいハウスメイドさんが紹介された。


「今度、新しく我が家に来てくださった「アリス 喜手良きてら 」さんよ」


僕はてっきり新しいハウスメイドさんもまたお年寄りの魔女だと思っていた。

でも違った。

そのハウスメイドさんはめちゃ若くて僕と同い年くらいの魔女だった。


(可愛い・・・メイド服がよく似合ってる)


ちなみにハウスメイドさんの衣装はメイドカフェにいるメイドさんと

違ってエプロンドレス「ロングスカート」を身につけている。


僕は彼女を一目見た瞬間、可愛いって思った。

整った顔立ち、髪は白に近い金髪、瞳は吸い込まれそうなブルー・・・。

背も僕よりは低そうだけど、それでも女子にしては高くてスレンダー・・。

ビジュアルは非の打ち所がない。


(魔女なんだよな・・・僕はこれから毎日この子と生活するのか?)


「あ、僕・・・息子の春樹です、よろしく」


「はい、アリスです、今日からお世話になります、お坊ちゃま」


(また、おぼっちゃまか、名前で呼んでくれたほうがいいんだけど・・・)


その魔女の名は「アリス 喜手良きてら 」って言う。

「アリス」が名前で「喜手良」が苗字。


僕はこの歳まで魔女とは一度も付き合ったことない。

姉妹もいないし・・・だから女の子って言うか魔女にどう接していいのか

分からない。


アリスは一応見習いハウスメイドさんってことらしいが

義務教育は受けているみたいだけど高校には通ってないらしい。


それはダメでしょってことで母はアリスを僕と同じ高校に通わせる

ことにしたらしい。

彼女が学校へ行ってる間は他のメイドさんがフォローしてくれるんだそうだ。

母もアリスと同じ魔女で出処も田舎ってことで彼女に情が湧いたのかも。


そういうわけで僕はアリスと毎日一緒に学校に通うことになった。

どうも女の子と一緒ってのは気をつかうし緊張する。

最初の頃は、まったくクチすら聞かず、話すらしないまま学校に通った。

ふたりが横に並ぶこともなく、アリスは僕の後ろをついてきた。


でもいつまでもクチも聞かないじゃコミュニケーション取れないし・・・

で僕の方から話しかけてみた。


「あのさ・・・アリス?・・・その、君の家族って?」


「私のうちは病弱な祖母と母親と私の三人暮らしです」


「兄弟姉妹はいないの?」


「一人っ子です」


「あ〜そうなんだ・・・僕と同じか・・・」


「あのさ。魔女って魔法使えるんだから、なんでも手に入るでしょ?」

「贅沢だってできるんじゃないの?」


「そうですけど魔法って制約があってむやみに使ったら罰せられるんです」

「自分の私利私欲のために使ったら怒られます」


「あ〜そうなんだ・・・そのへん僕知らないからさ」

「魔女ってみんな裕福なのかと思ってた」


「魔女それぞれです、規則無視して贅沢してる魔女もいるみたいですよ」

「私はそういうこと性格的にできません・・・」


「そうなんだ・・・分かった・・・」


そこまで話したけど、あとが続かない。


聞いた話なんだけど魔女って、いまいち性格がよく分からないらしい。

基本的にはツンデレな子が多いって聞いた。


ツンデレって言っても冷たいだけの人って意味じゃなくてツンツンしてる面と

デレデレしてる面の二面性をあわせ持っていて、その二面性のギャップが

たまらなく魅力的なんだそうだ。

まあ人間でも二面性持ってるけどね、魔女の場合はより極端なのかな。


普段、喜怒哀楽を表に出さないみたいだけど、一度相手に心を許すと魔女は

とことん尽くしてくれるらしい。

そう聞いたことがある。

尽くすって言う点ではメイドって職業は魔女に向いてるのかもしれない。


アリスは僕んちのハウスメイドで僕とは主人と奉公人の関係だけど、

それでも男である僕はどうしたって彼女を一人の女として意識してしまう。


つまり彼女は充分僕の恋愛対象になりうるってこと。

まあ、アリス次第だろうけど・・・。


それでも僕は僕の生活にアリスって言う希望の光を見出した気がした。


つづく。




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