第25話 「ふんっ! ふんっ! ふんっ! ふんん!!!」
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やっとハル姐は"首に付けられたヤツ"から手を離した。
それはオレの『ペロペロ』が効いたんだろう。
オレは『ペロペロ』って舐めながら心の中で
『元気出せ! 元気出せ! ハル姐、元気出せ!!』
って祈ってたからな!
オレの『ペロペロ』は万能だ!
サトシもアレをやられると、すぐに元気になる!
だけど……まだまだハル姐の顔は苦しそう……
『ペロペロ』だけじゃ足りないのは、すぐに分かった。
オレはハル姐が"首に付けられたヤツ"から手を離すと一気に走り出した。
「待ってろハル姐! オレが"白い服着た人間"をすぐに連れてきてやるぜ!! 待ってろぉ~~!!!」
まずは『人間』のいっぱいいる所に行かないと意味がない。
オレの記憶が正しければ、この公園よりもその先にある木がいっぱい並んでいる所の方が『人間』がいっぱいいる。
多分、『人間』は木に集まる習性があるんだろう。
オレは公園を飛び出すと、鼻を頼りに木の匂いが集まる場所を探した。
あの場所、公園のすぐ近くってのは知ってるけど、どこにあるかはいつもこの鼻頼りなんだ!
オレは地面を蹴るように走った。
ドンドンドンドン……木の匂いが近付いてくる。
いやいや、違うか!
オレが木に近付いていってるんだ!
んな事はどうでも良い!
今はハル姐だ! ハル姐を助けないと!
遂にオレの目の前にいっぱいの木が現れた。
もう少し……もう少し……
走れオレ! オレ走れ!
「ふんっ! ふんっ! ふんっ! ふんん!!!」
鼻息荒くなり過ぎてもう匂いなんて嗅げないや!
でも、もうすぐそこだから関係ねぇ!!
誰か、誰か、ハル姐を助けてぇ~~!!
オレは、夜の闇で薄暗いこの道に全速力で飛び込んだ。
ガシャーーンッッ
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