第24話 「クッサッ!!!」
24
私はいつの間にか気を失っていた。
そんな私を起こしてくれたのは、ラッピー……
ラッピーの生ぬるい唾と、野性味たっぷりな口臭が私の目を覚ましたんだ。
え………どんな気分だったかって?
そりゃもう……
「クッサッ!!!」
私は唸るように言った。
ただでさえお腹が痛くて苦しいのに、更に私の鼻をラッピーのぷぅんとくる口臭が襲ったんだから。
でも、そのお陰で私は目を覚ました。
でも、覚ましたからって言って体調が良くなる訳じゃない。
お腹が痛い……
吐き気もして気持ち悪い……
そんな私の顔をラッピーが必死な顔をして舐めていた。
私はその時、すぐに思い出した。
ぶぶちゃんの話を。
『犬が飼い主の顔を舐めるのは愛情表現なんだって! 俺が風呂上がりに貧血で倒れた時、ラッピーが目を覚ますまで『ペロペロ』してくれたんだ! クッサかったけど、嬉しかったなぁ~』
そんな風にぶぶちゃんは嬉しそうに語っていた。
じゃあ、これも愛情表現なの?
クッサいけど、ラッピーが私に対して
「愛してる」
って言ってくれてるの?
私はそう思うと、ラッピーの口臭も愛おしくなった。
ラッピーの愛情を感じると私のお腹を襲う激痛も少し和らいだ気がした。
私はその感謝をラッピー伝えたくて必死に言葉を口にした。
「あ……ありがとう……ラッピー……」
そしてラッピーの頭を撫でようと手を上げた。
だけど……
私がリードから手を離してラッピーの頭に触れた瞬間、ラッピーは突然私を置いてけぼりにして走り出した。
「ちょ……ちょっと……ラッピー行かないで!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます