第15話 「ぐぬぬぬ……」
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「ぐぬぬぬ……開けっ……ちょっ昔より固くなってる! 開けてて……開けてよハルカぁ!!」
オレは必死になって、オレとハルカの間を邪魔する"横に動く白いヤツ"の隙間に爪の先を突っ込んだ。
オレは知ってるんだ、この白いヤツに爪を引っ掛けて横に動かせばコイツが開く事を!
「ちょっと動いた! ちょっ……ちょっとだけ……アイタタ」
腕を通せるくらいは動いた、でもまだまだ足りない。
もっと開けないと。
「ちょっとサトシよぉ、昔よりこれ固くなってるぜ! 全然横に行かねぇって!!」
オレは鼻の先まで突っ込んだ。
「ぐぬぬぬ……行け! 行けって!!!」
顔さえ通りゃ行けんだ!
それはルナ姐が教えてくれた。
顔さえ通りゃ全部行けるって!
「くっそ……固い……いてて……クッソォ!! 狭いって狭いよ!!」
横に開くヤツの隙間にオレの顔は完全に挟まった。
でもここまで来ればこっちのもんだ!
オレは一気に前方に体重をかけた。
目の横が引っ張られて自然と白目が剥いちゃう!
唇も引っ張られて歯も剥き出しだぁ!!
この顔、昔サトシに
「キモい」
って言われた。
「キモい」ってなんだ?カッコいいのか?
オレは、無理矢理オレとハルカを邪魔する"横に開くヤツ"をこじ開けると、勢いよく腕を床に降ろしてハルカに駆け寄った。
「おかえり!!」
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