第35話 水舞う帝王…溺れる戦姫。
長い緑のたてがみを持つ巨大な水龍、シーサーペントが姿を現した!シーサーペントは腹が膨れて満足し、自分のテリトリーである湖底へと帰ろうとした。だが、そうはいかなかった。
突然降ってきた雷がシーサーペントの体に直撃したからだ。
「ファァ?」
犯人は…あの黄色い鳥かな?ちょうどいいね。デザートとして、いただくとしようかな。
緑の凶悪な目がサバルを捉え、食らいつこうと体をうねらす。シーサーペントがサバルに飛びかかった!
「アァ!?」
サバルはなんとかかわした。だが…体制が悪すぎる。次はもうかわせないかもしれない。
もちろん、それをシーサーペントが見過ごさないわけもなく…
長い尻尾がサバルを水面へ向かって叩きつける!だが…
「クェー!」
シーサーペントの尻尾がサバルを叩きつける直前にベガが風の刃をサバルとシーサーペントの尻尾の間に潜り込ませたおかげで致命傷は免れた。そして…
「ゴァー!!」
「ザァー!」
ニ種類の鰐がシーサーペントに喰らいつく!
シーサーペントはファラクとリゲルに奇襲され、混乱しているようだ。
「サバルがまずいな、もう一度攻撃喰らったらガチで死ぬかもしれん」
ベガの咄嗟のアシストによってなんとか九死に一生を得た。だがもうこれ以上戦わせるのはまずいな…
「サバル戻れ!杖の中でゆっくり休むんだ!」
シーサーペントに奇襲して大ダメージを与えたのだ。十分お前は活躍したとも。
ってかシーサーペントは雷攻撃が弱点だったみたいでサバルのイカヅチがかなり効いているようだった。
「もしかしてサバルが切り札だったのか!?それを早々に失ったけど、これ大丈夫だったりする?」
自分の額から冷や汗が流れていくのを感じた。あ、そういえば
「あのシーサーペントのレベルっていくつだ!?」
確認するのを忘れていた。最近はレベル100の魔物相手でも普通に勝てることが多かったから相手のレベルを確認するのも忘れちゃうんだよね。まあ、あの強さから見てレベル80後半くらいだろうか?
「どれどれ」
まあ90くらいか。それならあの強さにも納得…ん?
「レベル…54?」
あれ。
あれ。
あれ。
レベル54であの強さだと。
もしかして、水中ってかなりの魔境だったりする?
しかも、注意すべきはシーサーペントだけでない。
キラーピラニアだ。
「うぉ、どんどんキラーピラニアが集まってきやがる…」
サバルが垂らした血。ファラクたちがシーサーペントの攻撃により流している血。シーサーペントがファラクたちの攻撃により流している血。
キラーピラニアはそれら全てに反応している。
「あいつらシーサーペントすら襲うのかよ!?」
なんてことだ。あっという間に俺たちvsシーサーペントvsキラーピラニア艦隊の三つ巴の戦いになってしまった。地獄だろ。…とりあえず、飛行生物たちを出して迎え撃つしかないか。ベガは既に出して向こうで戦ってるから…
「ヴァイ、マティスは彼らの援護を、キジクジャクは俺を乗せてくれ」
「グォ」 「ガァ」 「ツクツク!」
アルタイルはシーサーペントの攻撃を喰らうと耐えれるか怪しいから出さないでおく。高い攻撃力よりも今は高機動力か高体力の仲間を出しておきたい。
マティスが毒針で、ヴァイが火炎弾でキラーピラニアを蹴散らしていく。シーサーペントはベガとリゲル、そしてファラクに任せるしかない!あと味方としてはカウントできないけどキラーピラニアもな。
「ファーwww!」
シーサーペントの鳴き声がどう考えても煽ってるような気しかしないのは何故だろうか。まあ、それはともかく
「ツクツク!」
「やっぱこいつでけぇ!」
俺たちはシーサーペントの後ろに回り込んでいた。ファラクとリゲルが真正面から戦ってくれてるおかげで気づかれることもなくて助かった!そして…
「毎度お馴染みオオトカゲの毒!は使えないから…」
オオトカゲの毒を流しても水の中だから希釈されてすぐに薄まってしまう。なので…
「いでよアクベス、奴の背中にしがみつけ!」
「」
ハサミをギチギチさせながら現れたのは銀色の巨大蟹、アクベスだ。アクベスは泳げないが蟹だから溺れることはない。やっておしまい!
「ファッ!?」
だからさ、シーサーペントの鳴き声どうにかならないの?
「ゴァー!!」
「ザ…ァー!」
ファラクはまだまだやれそうだがリゲルが危ない。もうこれ以上はダメだな。
「リゲルよくやった!あとは任せとけ」
新しく来たばっかでまだまだレベルも低いのによく頑張ってくれた。あとで高い肉でも食わせてやろう。いやまあ他の仲間たちにもあげるけど。
「ファーー!!!!ファ!」
シーサーペントが悶え苦しみ始めた。シーサーペントは背中が弱点みたいで、アクベスがシーサーペントの背中をハサミで攻撃しているのがかなり効いてるみたいだ。だが…
「ふぁっ!?」
「ツク!?」
シーサーペントが尻尾をバチンバチンと激しく打ち鳴らしてるのだが…それが俺たちに当たってしまったのだ!驚きすぎて俺までシーサーペントみたいな鳴き声出してしまった!!
キジクジャクも俺も一応耐えられたが、問題はその先だった。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ振り落とされたぁぁぁぁぁ!!!!」
湖の中にダイブしてしまった!!確か今湖の中は…
「キラ?」 「キラ!」
そうだよね!キラーピラニアたくさんいるよね!
「がばばばばばばばば」
とりあえず誰でもいいから仲間を出さねば!誰か来てくれ!
「ッ!?!!!」
あ、1番出しちゃダメなやつ出しちゃった。やべぇ、このままだと餌にされる!
「グォ!」
マティスが俺とメアリを助けに来てくれた。助かった。
…メアリがめっちゃこっち見てるんだけど。
「その、ごめんって…」
「…ッ」
「いや、本当に、申し訳ございませんでした」
ちなみにシーサーペントは俺たちが溺れてる間にファラクが渾身の一撃をシーサーペントにぶつけて倒したらしい。踏んだり蹴ったりすぎる、なんだこれ。
仲間にしたシーサーペントにはサルヴァントと名付けておいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます